トヨタの最上級ミニバンのアルファード/ヴェルファイアが2024年12月に一部改良を行った。その際に新規に設定されたアルファードの「ハイブリッドX」が大注目を集めている。装備の簡素化により510万円~となっているのだが、それでもお買い得なうえに、ユーザーによっては逆にその簡素化が魅力となっているからだ。その中身をご紹介しよう!!
画像ギャラリートヨタの最上級ミニバンのアルファード/ヴェルファイアが2024年12月に一部改良を行った。その際に新規に設定されたアルファードの「ハイブリッドX」が大注目を集めている。装備の簡素化により510万円~となっているのだが、それでもお買い得なうえに、ユーザーによっては逆にその簡素化が魅力となっているからだ。その中身をご紹介しよう!!
ハイブリッドXはガソリンエンジン最安値のZより45万円も安い!!
2024年12月に、アルファードと姉妹車のヴェルファイアは一部改良とグレード追加を行った。グレード追加では、アルファードとヴェルファイアにプラグインハイブリッドを加えている。アルファードはハイブリッドXも設定した。ここではアルファードハイブリッドXの損得勘定についてガイドする。
アルファードハイブリッドXは、従来から設定されていたアルファードのZやエグゼクティブラウンジに比べると、装備がシンプルで価格も安い。2WDは510万円だ。
一方、アルファードにノーマルガソリンエンジンを積んだZ・2WDの価格は555万円で、ハイブリッドZ・2WDは635万円だ。つまりアルファードハイブリッドXは、ノーマルエンジンではなくハイブリッドシステムを搭載しながら、価格は最も安い。
ハイブリッドZより125万円安いハイブリッドXは8人乗り
アルファードハイブリッドXの価格は、ハイブリッドZに比べて125万円下まわる。そこでハイブリッドXとハイブリッドZを比べると、最も異なるのは2列目シートだ。
ハイブリッドZにはエグゼクティブパワーシートが装着され、固定式アームレスト、リクライニングやオットマンの電動機能、ベンチレーション機能、格納式テーブルなどが備わる。2列目は2人掛けだから乗車定員は7名だ。
追加されたハイブリッドXの2列目シートは、左右が繋がったベンチタイプだ。 3人掛けも可能だから、乗車定員は8名に増える。荷室のアレンジも異なり、2列目がベンチシートであれば、座面を持ち上げて前側へ大きくスライドできる。3列目も左右に跳ね上げて格納すれば、ボックス状の大容量の荷室に変更することも可能だ。ハイブリッドXは、大きな荷物を積む機能も備わる。
このほかハイブリッドXとハイブリッドZでは、装備にも差がある。
簡素化されても衝突被害軽減ブレーキや運転支援の基本装備は標準装着
昼間でも点灯するデイタイムランニングランプ、曲がる方向を照らすコーナリングランプ、ハイビーム使用時でも対向車などの眩惑を抑えるアダプティブハイビームシステム、ステアリングヒーター、3人分の運転姿勢を記憶できるマイコンプリセットドライビングポジション、リヤゲートの電動開閉機能、デジタルキー、前席のベンチレーション機能と電動調節機能などは、ハイブリッドZには標準装着されるがハイブリッドXには備わらない。
さらにハイブリッドZのディスプレイオーディオは14インチでスピーカーは10個だが、ハイブリッドXは9.8インチでスピーカーも8個に減る。 シート生地は、ハイブリッドZは合成皮革だが、ハイブリッドXはファブリックだ。
ハイブリッドXは、ハイブリッドZに比べて多岐にわたる装備をカットしたが、衝突被害軽減ブレーキや運転支援の基本装備は標準装着される。その意味では選ぶ価値のあるグレードだ。特に8人で乗車する機会があったり、子供のオムツを取り替えたりするためにベンチシートが欲しいユーザーは、ハイブリッドXが必須の選択になる。
ハイブリッドZと比べた時の買い得度はどうか。まず2列目シートの違いを価格に換算すると45万円に相当する。ハイブリッドXでは電動機能が省かれる半面、ハイブリッドZとは異なるシートアレンジが加わり、50万円を超えるような差にはならない。
装備やシート生地の違いを価格に換算すると、合計して約55万円だ。2列目シートの価格換算額も加えれば100万円と見積られる。ところがハイブリッドXの価格は、ハイブリッドZよりも125万円安いから買い得だ。
受注再開は2025年末か?
問題は納期で、販売店は以下のように述べた。
「2024年12月に改良を実施して、アルファードとヴェルファイアは止めていた受注を再開したが、待っていたお客様も多い。そのために納期が一気に延びて、ハイブリッドXを含め、受注を再び停止させた。現在受注している車両の納車が終わるのは25年12月頃で、その時期が近付くまで受注は再開しないと思う。購入を希望するなら販売店に問い合わせて、受注が再開したら連絡をもらえるように手配しておくと良い」
定額制カーリースのKINTOを使うと3~6か月で納車されるが、契約期間を満了したら車両を返却せねばならず、買い取ってユーザーの所有にはできない。グレードも限られ、ハイブリッドXの設定はない。
KINTOでは車内での喫煙ができず、ペットの同乗も原則として控えることになっている。つまり制約が多い。アルファードXは割安なLサイズミニバンだが、欲しくても買えないのでは意味がない。人気車であることは間違いないから、生産体制を見直して納期を短縮すべきだ。
文/渡辺陽一郎(わたなべ よういちろう):自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。執筆対象は自動車関連の多岐に渡る。
写真/トヨタ