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若者のクルマ離れが加速

もうひとつは若者のクルマ離れが加速したこと。1980年代から1990年代頭頃までのクルマ界は若者が支えていたと言っていいほど。就職するとすぐにクルマを購入するというのが多かった。特に地方出身(広島県)の筆者にとってはそれが当たり前だった。

筆者はこの頃30歳を超えていたが、20代の頃はクルマは欲しいが、買えなかった。特に東京をはじめとする大都市圏で生活している若者にとっては、クルマのプライオリティはどんどん下がっていった。当時筆者よりも下の世代は『ニュージェネレーション(以下NG)世代』と呼ばれていたが、確かにクルマ離れが顕著だった。

トヨタの声掛けで発足したWiLL

当時NG世代は『そのほかの世代とは明らかに価値観が異なる』、『異なる消費行動をする』ため、従来のマーケティング手法ではNG世代からヒット商品が生まれない、という分析がされていた。

それに危機感を覚えたトヨタの声掛けで立ち上がったのが異業種合同プロジェクト『WiLL』で、1998年8月に発足した。トヨタ、アサヒビール、花王、近畿日本ツーリスト、松下電器産業の5社が参画し、新たなマーケティング手法を共同で開発することを目的としていた。それにしても凄いのは、各業界のトップまたはそれに準じる企業が名を連ねていたことだ。そして各業界を代表する大手5社がWiLLシリーズという共通ブランドのもと、『遊びゴコロと本物感』を兼ね備えた商品を順次発売することになった。

WiLLと言えばオレンジで、WiLL Viのカタログ類もそのカラーで統一

東京モーターショー1999で初対面

前置きがかなり長くなってしまったが、WiLL Viのことを語るには、その背景の説明が不可欠のためご容赦いただきたい。

WiLLプロジェクトのもとWiLL ViはWiLL発足から1年4カ月後の2000年1月にデビューを果たした。

WiLL Viはデビュー前の東京モーターショー1999に出展されお披露目されていた。キャッチフレーズは『遊び心あふれる4ドアパーソナルカプセル』(WiLLのポリシーは遊びゴコロ)というもので、自動車雑誌編集者の筆者はそこで実車を初めて目にした。ほぼこのまま販売されると説明されていたが、個性的なデザインだな、という印象以外、感激もなければ落胆もなかった。興味がなかったと言ってしまえばそれまでなのだが、キワモノ的なWiLLよりもヴィッツベースのハイトワゴンのファンカーゴのコンセプトカーのほうが気になっていた、というのが正直なところ。

当時はキワモノ的な雰囲気を醸し出していたが、今出せばウケるかも
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ベースはヴィッツ...
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この記事のライター

市原 信幸
市原 信幸

市原 信幸

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