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今でこそ世界で確固たる地位を築いている日本車だが、暗黒のオイルショックで牙を抜かれた1970年代、それを克服し高性能化が顕著になりイケイケ状態だった1980年代、バブル崩壊により1989年を頂点に凋落の兆しを見せた1990年代など波乱万丈の変遷をたどった。高性能や豪華さで魅了したクルマ、デザインで賛否分かれたクルマ、時代を先取りして成功したクルマ、逆にそれが仇となったクルマなどなどいろいろ。本連載は昭和40年代に生まれたオジサンによる日本車回顧録。連載第57回目に取り上げるのは1993年にデビューした6代目日産シルビアだ。

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大ヒットしたS13の後継

今回6代目シルビアを取り上げるが、シルビアの場合型式で呼ぶほうが浸透しているので、S14シルビア、歴代モデルも型式表記とさせていただく。

S14シルビアは、S13の後を受け1993年10月にデビュー。S13と言えば、歴代シルビアで最も売れたモデルで、元祖デートカーとして君臨していたホンダの3代目プレリュードをも駆逐した大ヒット作だ。

S13は30万台を超えるスマッシュヒットとなった

クルマ界では、「大ヒットしたモデルのフルモデルチェンジは難しい」というのは定説だが、シルビアはその典型だ。実際に販売台数で見ると、S13が約30万台を販売したのに対し、S14は約8万5000台と、3分の1以下にまで減っている。

特に日産車は人気車と不人気車が交互になる傾向が強い。シルビアは全部で7モデル存在するが、スペシャルなキャラクターだった初代(CPS311型)は高額スペシャルティカーという別のキャラクターだったため除外すると、2代目(S10型)人気イマイチ→3代目(S110型):人気→4代目(S12型):不人気→5代目(S13型):超絶人気→S14:人気イマイチ→7代目(S15):人気、というかたちで凸凹なのだ。

S110はシルビアとその兄弟車のガゼールがともに人気

大型化が仇になった

S14シルビアのボディサイズは、全長4500×全幅1730×全高1295mm。全幅が1700mmを超えた3ナンバーボディとなった。今では日本車は全幅1800mmを超える2Lクラスのクルマはいっぱいある。1.4Lターボのスイフトスポーツでさえ全幅1735mmだ。

では、実際にどのくらい大型化されたのかだが、S13のボディサイズが全長4470×全幅1690×全高1290mmだから、全長が30mm長く、全幅が40mmワイドで、全高が5mm高くなっただけ。今なら新車紹介時には、旧型とほぼ同サイズで登場、と表現されるレベルの差なのだが、5ナンバーサイズから3ナンバーサイズになったというのはクルマ好きにとってはある意味事件だったのだ。

今思えばこの大型化がクローズアップされ、S13シルビアにあった扱いやすいジャストサイズという魅力が薄れたことが必要以上に強調されすぎ面もあった。

3ナンバーサイズとなってユーザーから不評

丸みを帯びたデザインも不評

S14シルビアのデザインは、S13のキープコンセプトではあるが、より丸みを帯びたデザインが与えられた。これは当時の日産のデザイントレンドで、R33型スカイラインも同様に丸みを帯びたデザインでほぼ同時期に登場している。

しかし、この丸みを帯びたデザインはS13に魅力を感じていた若者から大不評。日産サイドでは洗練されたエレガントさを追求した、としているが、若者にはスポーティさが失われたと映ったのだ。

実際S13シルビアが人気となったのは曲面基調なのにシャープで引き締まった印象を与えるそのデザインにあったのだ。それに対し、S14シルビアのデザインはシャープさとは無縁で締まりがない(悪く言えば間延びした感じ)という、S13とは真逆の印象だ。そのデザインによって、ボディサイズ以上に大きく見えた気がする。

デザインの不評に対し危機感を覚えた日産は、釣り目のフロントマスクを与えるという大掛かりなマイチェンをするのだが、それについては後述する。

エレガントではあるが、ユーザーが求めたのはそれではなかった
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性能面では大きく進化...
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この記事のライター

市原 信幸
市原 信幸

市原 信幸

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