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性能面では大きく進化

S14シルビアに搭載されたエンジンは2L、直4DOHCと2L(160ps/19.2kgm)、直4DOHCターボ(220ps/28.0kgm)の2種類というのはS13を踏襲。S13シルビアのエンジンが140ps/18.2kgm、205ps/28.0kgmだから、ターボ、NAともに大幅なスペックアップを果たした。

特に注目はターボエンジンで、新技術が投入されていた。リニアチャージコンセプトと呼ばれるもので、簡単に言えば、従来エンジンから過給圧を敢えて下げて、圧縮比を高くすることでトルクバンドを広げようというもの。

乗った感じのフィーリングでは、ターボ特有のガツンとくるパワー感はなく、全域でパワー、トルクが盛り上がる感じ。言ってみれば排気量の大きいNAエンジンのフィールに似ている。

220psまでパワーアップされたリニアチャージコンセプトの2Lターボ

これは笑い話だが、筆者はS14シルビアのターボモデル(K’s)の広報車両を借りに行って乗って帰る時に、そのフィーリングがあまりにもジェントルでNA的だったので、クルマを停めて車検証を見返したほど。車検証に間違いがなかったが、不安になって、ターボであることを日産確認。「初めて乗った方からよく問い合わせがあります」と言われたが、けっこう恥ずかしかった。それほどNA的だったのだ。

ユーザーが熟成されていなかった!?

このリニアチャージコンセプトによる2Lターボエンジンのフィーリングもユーザーには不評だった。「パワーは出ているもの、ターボらしさがない」、まさに筆者が感じたそのままだ。

リニアチャージコンセプトの考え方自体は、現在ターボの主流になっているダウンサイジングターボと同じ。それを日産は10年以上も前に商品化していたのだ。まぁ、ダウンサイジングターボと違い、その当時は直噴エンジンの技術が確立されていなかったため、圧縮比を今ほど上げられなかったというのはあるが、さすがは技術の日産と改めて思う。

パワーは出ているがパワー感がないのは日産が狙ったことだったが、ユーザーと乖離

S14シルビアが登場した93年当時では、ターボはガツンときてなんぼ、という時代で、ある意味ユーザーが熟成されていなかったとも言えるだろう。

それから、画期的だったリニアチャージコンセプトがウケなかったのは、S14シルビア、R33スカイラインという人気がイマイチだったクルマに搭載されていたのが不運だった面もある。

走りの性能は大きく進化

ユーザーから不評だったS14シルビアだが、走らせるとFRスポーツして大きく進化していた。ゼロヨンタイム、中間加速タイム、つくばサーキットのラップタイムなど、各自動車雑誌でテストしていたが、どれもS13を大きく凌駕していただけでなく、ホンダプレリュード、同時期に発表されたトヨタセリカを寄せ付けなかった。

後輪を操舵するスーパーハイキャスは電動スーパーハイキャスへと進化させ、シャープな回頭性を手に入れ、コーナリング時のスタビリティは大幅にアップするなど、楽しいFRスポーツに仕上げられていた。だからこそもったいなかった。

走らせればS14シルビアのポテンシャルはたかった
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S13のような特別感が失われていた...
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この記事のライター

市原 信幸
市原 信幸

市原 信幸

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