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不評だったデザインにメスを入れた

日産としてもS14シルビアの不人気は想定外だったはずだ。そこで日産はデビューから約3年経過した96年6月にマイチェンを敢行。マイチェンはデザインを変更してもプレスラインを変えないのが一般的だが、シャープさが際立つ釣り目のまったく違う顔を与えてきた。これには正直驚いた。ここまでやったのは、日産にとってシルビアは重要なモデルで、不人気状態が続くことは許せなかったのだろう。

この釣り目の後期モデルは、正直なところ顔だけシャープになった感じで、丸みを帯びたプロポーションとアンバランスだったが、若干ではあるが人気回復に大きく貢献。

プロモーションも積極的で、前期型のTV CMの印象は薄くて思い出せないが、釣り目の後期型は俳優の宝生舞さんを起用。ビート感あふれるハイロウズ『相談天国』をBGMに宝生舞さんが目を釣り上げて「あの目がたまらんわ」というTV CMのインパクトは抜群だった。

大胆にフロントマスクを変更した後期モデルは人気となった

NISMOにとって重要なモデル

S14のデビューから約1年が経過した1994年に日産のモータースポーツを手掛けるNISMOがS14をベースとした270Rを登場させた。車名の数字の270とは270psのエンジンパワーを意味していて、2Lターボは220psから270psにパワーアップ。

そのほか足回り、ボディなどもトータルチューニングされていて、30台限定、当時R32GT-Rに匹敵する450万円で販売された。

NISMOにとって270Rは初のコンプリートカーで、その後R33GT-Rベースの400R、R34GT-RベースのZ-TUNEなどを登場させる礎となったモデルだ。

前期モデルをベースにしたNISMOのコンプリートカーの記念すべき第1弾が270R

中古車では人気が高い

新車時にはイマイチ人気のなかったS14シルビアだが、中古マーケットではどのような動きをしているのか調べてみると、常時100台程度が流通しているので、決して買いにくいクルマではない。そして流通しているモデルは当然釣り目の後期型のほうが多い。

相場としては180万円程度から購入できるが、最多価格帯は250万~300万円なのだが、それ以上の500万~600万円レベルの個体も少なくない。

実はドリフトなどに使うにしても、ワイドボディによるトレッドの広さなどが評価され、消滅してから評価が高くなっている一台でもある。

中古車になって評価が高まったS14

【日産シルビアK‘s主要諸元】
全長4500×全幅1730×全高1295mm
ホイールベース:2525mm
車両重量:1240kg
エンジン:1998cc、直4DOHCターボ
最高出力:220ps/6000rpm
最大トルク:28.0kgm/4800rpm
価格:239万8000円

S14はシルビアとして久々のレース参戦となりGT選手権に投入された

【豆知識】
ドイツ人デザイナーのゲルツ氏がデザインを担当した高級パーソナルクーペ。流麗なエクステリアデザインは今見ても美しい。型式のCSP311からもわかるとおり、フェアレディ(SP311)とコンポーネントを共用している。言ってみればSP311のクーペ版だ。生産期間は1965~1968年のわずか3年と短いが、インパクトのある日産の名車の一台。

フェアレディSP311のクーペ版という位置づけの美しい初代シルビア

市原信幸
1966年、広島県生まれのかに座。この世代の例にもれず小学生の時に池沢早人師(旧ペンネームは池沢さとし)先生の漫画『サーキットの狼』(『週刊少年ジャンプ』に1975~1979年連載)に端を発するスーパーカーブームを経験。ブームが去った後もクルマ濃度は薄まるどころか増すばかり。大学入学時に上京し、新卒で三推社(現講談社ビーシー)に入社。以後、30年近く『ベストカー』の編集に携わる。

写真/NISSAN、ベストカー

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市原 信幸
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