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インテリアもこだわりの産物

エクステリアデザインの奇抜さに話題が集中してあまり語られることはなかったが、実はインテリアデザインもかなり凝っていたのだ。ヴィッツが日常での使いやすさに主眼が置かれてデザインされているのに対し、WiLL Viのそれはデザイン重視。といって使い勝手が悪いかと言えばそうでもない。このあたりはトヨタとしては譲れなかった点で、デザインのために使い勝手を犠牲にするなんてことはあり得なかった。

実際に当時トヨタが推進していたセンターメーターは、ホワイトパネルが採用されて視認性に優れていたし、操作系はセンターコンソールに集積されていたので使いやすかった。好みにもよるがヴィッツにない色遣い、パネル形状などによりなごみ感に溢れて、刺さる人には刺さった。

乞ったデザインのインテリア。センターメーターの視認性もよかった

八木さおりさんをモデルに抜擢

筆者にとってWiLL Viとの最大の思い出は、新車登場時に試乗ページを担当したこと。いろいろなクルマ雑誌がWiLL Viを紹介するにあたり、女性をターゲットとしているクルマということで、モデルとして女性を起用していた。『ベストカー』がその時にキャスティングしたのが八木さおりさん。第4回『ミスマガジン』のグランプリを獲得し、その後俳優としてミュージカルなどでも活躍された方だ。クルマ雑誌の『ベストカー』で『ムメンでゴメン』という連載も担当していたが、筆者が入社時には連載終了となっていて、WiLL Viの撮影が初対面で撮影をご一緒させていただいた時は、”さおり”ではなく”小織”名義で活動されていたハズだ。

Viをドライブしてご満悦の八木さおりさん(ベストカー2001年3月10日号)

専業モデルって雑誌慣れしているが、芸能人ってそうではない人も多く、実際にそれが原因で扱いづらい人もいるなか、八木さんはまったくそんなこともなく、楽しく仕事をすることができたのを覚えている。WiLL Viと小柄でカワイイ八木さおりさんとの絡み写真は非常にマッチしていて、WiLL Viのキワモノ感も薄れていた。

八木さおりさんはViが妙に似合っていた (ベストカー2001年3月10日号)

わずか2年足らずで生産終了

トヨタ渾身、鳴り物入りで登場させたWiLL Viは、話題性もあって初期受注は好調。月販目標は1500台とトヨタ車としては異例なほど少ないが、デビュー後1カ月で約4500台を受注するなど好スタートを切った。購入層は20代、30代の女性が中心で、人気のボディカラーはイメージカラーのシルバーメタリックが約5割と当時トヨタが公表していた。

キャラは立っているがクルマ好きが興味を持つクルマではないWiLL Viのようなクルマをクルマ雑誌が扱うのはデビュー時だけ。実際にいろいろなクルマ雑誌を見ても、3月以降はほとんど登場していなかったように思う。出てもお金をいただいて作るタイアップくらい。露出が減れば存在感も薄くなる。特にWiLL Viのようなインパクト勝負のクルマは、よほどのことがないかぎり人気は長続きはしない。その対策として、トヨタはある一定期間ごとに新色を登場させるなど頑張っていたが、徐々に販売を落としていった。

WiLL Viは台数限定でも期間限定でもないトヨタのカタログモデルとして販売されていたが、2001年12月に生産終了となった。わずか1年11カ月という短命に終わってしまった。累計販売台数は正確な数字は出ていないが、約1万5000台だったという。

ハッチバックではなくトランクが独立していたので使い勝手もよかった
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WiLLシリーズは全3車種...
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この記事のライター

市原 信幸
市原 信幸

市原 信幸

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