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チャーハンとラーメンのセット、略して“チャーラー”。愛知で親しまれるこのセットメニューを愛してやまない現地在住のライター・永谷正樹が、地元はもちろん、全国各地で出合ったチャーラーをご紹介する「ニッポン“チャーラー”の旅」。第54回は、常滑競艇場の近くへ。素晴らしいチャーラーがあるそうです。その実力は!?

店内のテレビから流れてくるのは競艇中継

競馬場や競輪場、競艇場など公営ギャンブル施設の周辺には多くの飲食店が軒を連ねていて、その数だけ悲喜こもごものドラマがある。ギャンブルに勝った日はラーメンをチャーシューメンにグレードアップしたり、餃子を追加したりして景気よく。負けて懐が寒くなった日も一杯のラーメンが身体を暖めてくれる、みたいな。

愛知県の知多半島西岸の中央部にある常滑市。愛知万博が開催された2005年に開港し、今年で20周年を迎えた中部国際空港セントレアのある町だが、それ以前の町のシンボルはボートレースとこなめ(常滑競艇場)だった。その最寄り駅である名鉄空港線常滑駅前に今回紹介する『競艇らーめん うをとよ』がある。

かつては常滑競艇場内で営業していたそうで、競艇ファンのみならず、近所の人々や外回り営業のビジネスパーソンも訪れ、とくにお昼時は常に満席状態が続く人気店だ。

『競艇らーめん うをとよ』外観。店は名鉄空港線常滑駅の西側
『競艇らーめん うをとよ』外観。店は名鉄空港線常滑駅の西側

写真がなくて申し訳ないが、ここの名物はボートを思わせる楕円形の丼に入った「競艇ラーメン」豚の角煮のような分厚いチャーシューが2切れも入っているのが特徴で、さらにボートレースのブイ(旋回点)をイメージした梅おにぎりまで付いて今どき800円。そりゃ流行るはずだ。

店に到着したのは、昼営業のピークタイムだったが、ちょうど先客が食事を終えて店から出てきたタイミングだったため、運良くテーブル席に滑り込むことができた。店内を見渡すと、競艇中継が流れているテレビをビール片手に食い入るように見つめる客も。いいなぁ、この雰囲気。

メニューには「冷やっこ」や「どて煮」など酒の肴も
メニューには「冷やっこ」や「どて煮」など酒の肴も

実はここ、ラーメンだけではなく、麺類はうどんもあるし、カツ丼などの丼ものや味噌カツ定食まである。そして、「チャーハン+ラーメン」、つまりチャーラーも。こちらは1000円。常連と思われる客が「ボートひとつ!」と「競艇ラーメン」を注文していたが、ここはやはりチャーラーを注文することに。

たまり醤油の深いコクとほのかな甘みがたまらない

まず、ラーメンが着丼。「常滑ブラック」と呼ばれる通り、スープは真っ黒。知多半島は古くから醤油や味噌、酢など醸造文化が盛んで、ここのラーメンは江戸時代から続く地元の老舗醸造蔵「盛田」のたまり醤油を使っているという。

「ラーメン」。「常滑ブラック」と呼ばれる通り、スープは真っ黒
「ラーメン」。「常滑ブラック」と呼ばれる通り、スープは真っ黒

愛知県の食文化においてたまり醤油は欠かせない調味料のひとつ。名古屋名物のきしめんのツユをはじめ、ひつまぶしに使うタレなど多くの料理に用いられている。見た目よりも味は濃くはなく、深みのあるコクとほのかな甘みが特徴だ。

ここのラーメンのスープのベースとなるのは、おそらく鶏ガラとカツオ節だろう。「競艇ラーメン」に入るチャーシューの煮汁も加えていると思う。クセがなく、うどんのツユのようにごくごくと飲めるほど旨い。何といってもたまり醤油のコクと香りがご飯によく合いそうだ。チャーハンとのマッチングに期待が膨らむ。

やや縮れのある細麺がスープによく絡む
やや縮れのある細麺がスープによく絡む

麺は細麺でやや縮れがあるため、スープによく絡む。適度な弾力とコシも心地よく、まったく食べ飽きない。具材はチャーシューとメンマ、海苔、ネギといたってシンプル、ご覧の通り、「競艇ラーメン」に使用されている分厚いチャーシューは入っていないが、値段を考えれば仕方がないか。

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刻みチャーシューと玉ねぎが味の決め手
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永谷正樹
永谷正樹

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