ラー博で創業者が説明した函館ラーメンへの思い
2000年6月、新横浜ラーメン博物館で復活した「マメさん」の味は、もともとの「マメさん」の味をベースに、新たな郷土のエッセンスを加えた“温故知新ラーメン”でした。そこから「新・函館ラーメン マメさん」という屋号での出店になりました。
この出店に合わせ、これまで調べ上げた函館のラーメン史、「マメさん」の復活劇から、函館の魅力を詰め込んだ冊子も用意されました。岡田さんは、社長業があるにもかかわらず、オープンから1週間、来館されるお客さまひとりずつに、その冊子をもとに丁寧に説明をされていたのが印象的でした。
若き日の岡田さんが惚れこんだ、背脂の浮くインパクトの強い塩ラーメンを現代風にアレンジして再現しました。タレは昆布やホタテ、カニなど、魚介の旨みを凝縮。スープには丸鶏などの厳選食材を使用。弱火で長時間煮出し濁らせないスープはさっぱりしていながらコクも十分。「マメさん」ゆかりの“焦がし背脂”がアクセントとなっておりました。
また、「新・函館ラーメン」のポイントとなっていたのが海藻の「フノリ」でした。ミネラルを豊富に含み、健康食品としても注目されています。これをスープに使うことで、“塩のカド”を取り、味わいを丸くします麺にはうどん用の中力粉などもブレンド。手間を惜しまず包丁切りにし、柔らかく滑らかな食感を実現。麺にも「フノリ」が練り込まれており、函館ならではの潮の香りを表現しております。
具材はシンプルにチャーシュー、メンマ、ネギ、そして函館ラーメンによく使われるお麩でした。
祖業の事業停止により「マメさん」の歴史も終了
「新・函館ラーメン マメさん」は、2001年2月25日にラー博での出店を終え、その年の4月、地元函館に新店をオープン。地元からの期待も高く、たちまち行列店となりました。残念なことに、岡田さんは2017年に逝去され、その後は、ご子息がいったんは継いだのですが、2023年9月、製麺会社の突然の事業停止により、「マメさん」の歴史も途絶えてしまいます。
新横浜ラーメン博物館30周年企画「あの銘店をもう一度」では、2023年4月4日から3週間の出店。大好評でしたが、事業停止とともに、函館のお店は存続ができなくなりました。ひとときとはいえ、ラー博で「マメさん」の味がお披露目できたことには、岡田さんも天国で喜んでいたのではないかと思います。