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とんこつではなく、玄界灘が育んだ塩ラーメンで

佐賀県唐津市に隣接する福岡県はとんこつラーメンの発祥の地。福岡県久留米市で誕生したとんこつラーメンはその後、福岡、熊本、大分など、九州一円に伝播しました。いわば、九州は“とんこつラーメンの聖地”なのです。

しかし、佐野さんがプロデュースしたラーメンは「塩ラーメン」でした。なぜなのか?

佐野さんによると、「玄界灘は暖流と寒流が入り混じる拠点で、ミネラル豊富な塩が得られる。それとともに、新鮮な食材が豊富で、すぐ手に入る。だから、九州のなかでも独自の食文化が存在し、九州の他県に比べ、素材本来の旨みを生かした食文化やあっさりを好む傾向がある」とのことでした。

そうした背景や地元郷土料理等からのヒントを得て佐野さんがたどり着いたのは、玄界灘の塩を使った「玄界灘塩らぁ麺」でした。

「らぁ麺むらまさ」の玄界灘・加唐島の塩を使った「玄海灘塩らぁ麺」

佐野実さんが惚れ込んだ玄界灘の「一の塩」

ひと口に塩と言っても「岩塩」「海塩(天日塩)」「湖塩」など、種類、産地、そして作る手法によりその数は多く、佐野さんもこれまでに数百種類を超えるさまざまな塩を試してきたそうです。

唐津での取り組みで、出会った塩は「味、成分とも文句のつけようがない……」と絶賛。その塩は唐津沖4kmほどの土地で育まれたもの。玄界灘に囲まれた加唐島(かからしま)で作られる「一の塩(いちのしお)」でした。

こだわった塩は玄界灘・加唐島で作られる自然海塩。まろやかな「一の塩」

佐野さんによれば、「まろやかでカドのないこの塩を使えば、より食材本来の旨みが引き立つラーメンになる」とのこと。「料理で一番大切なのは水と塩」と力説する、佐野さん。“ラーメンの鬼”らしいこだわりでした。

スープには、アゴ、剣先イカなど唐津の恵みも

スープのベースは佐野さんの店「支那そばや」が鶏主体なのに対して、「らぁ麺むらまさ」では豚が主体。「和豚もちぶた」をメインとした動物系スープと、アゴ(トビウオ)やエソ、昆布などの魚介系をブレンドしたもの。弱火でじっくり煮込み、あっさりとしていながら素材の持つコクを引き出したスープです。

スープのベースは「和豚もちぶた」。アゴなどの魚介系もブレンドし、弱火でじっくり煮込んだ黄金色のスープ

塩ダレはメイン食材「一の塩」のほか、剣先イカなどの魚介エキスに加えて、地元「唐津屋」の天然ダシも使用しました。麺は中細(番手22番)のストレート。佐賀県産国産小麦「ニシノカオリ」を配合した「春風」に、「支那そばや」専用粉をブレンド。香り、旨み、コシ、そしてしなやかさが“同居”した麺です。

麺は中細ストレート。佐賀県産小麦に「支那そばや」専用粉をブレンド

具はスープを邪魔しないようにあえてシンプルに。「和豚もちぶた」を使った肩ロースのチャーシュー、穂先メンマ、そして唐津産の中ネギ(青ネギの一種)を使用。唐津の自然の恵みが詰まった一杯です。

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唐津ですでに15年、地元に根づいたラーメンに
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おとなの週末Web編集部
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