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「これからどこまでもこの御方の後におつきしていこう」

やがて平成12年6月、良子さまは崩御された。その年のお誕生日の記者会見で、記者から「香淳皇后へのお気持ちや、印象深かった出来事があるか」と尋ねられ、美智子さまはこのようにお答えになっている。

「(良子さまが)崩御になり、ただ寂しく、心細く思います。印象深かった出来事という質問ですが、私にとり忘れられない思い出は、まだ宮中に上がって間もない東宮妃の頃、多摩御陵のお参りにお伴をさせていただいた時のことです。

梅の実の季節で、お参り後、昭和天皇と皇太后さまと当時東宮でいらした陛下が、私もお加えになり、皆様して御休憩所の前のお庭で小梅をお拾いになりました。

その日明るい日ざしの中で皇太后さまのお笑い声を伺いながら、これからどこまでもこの御方の後におつきしていこうと思いました。今も自分一人の記念日のように、この日の記憶を大切にしています」

そこにいらっしゃることで、美智子さまを力強くお支えになったという良子さま。美智子さまは、いつしか良子さまをご自分のお手本として生きるようになられていた。お二人の歩みは、これからは次の世代に伝えられていくことだろう。(連載「天皇家の食卓」第44回)

(C)JMPA

参考文献:『皇后陛下お言葉集 歩み』(宮内庁侍従職監修、海竜社)、『皇后陛下御歌集 瀬音』(大東出版社)、『良子皇太后と美智子皇后』(渡辺みどり著、講談社α文庫)、『天皇家の姫君たち 明治から平成・女性皇族の素顔』(渡辺みどり著、文春文庫)

文/高木香織
たかぎ・かおり。出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』、『日めくり31日カレンダー 永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へー』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。

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高木 香織
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