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温泉療養のための自炊湯治というと、古い客室と共同トイレが定番だったが、秋田県の玉川温泉では、共同炊事場も新しく、食事をするダイニングもきれいになって、使い勝手がいい湯治場に生まれ変わっている。特別天然記念物「北投石」(ほくとうせき)を産出する稀有な土地に湧く温泉と岩盤浴で病を癒やした人は数知れず。「奇跡の湯」と名高い玉川温泉に足を運んでみてほしい。

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脅威のpH約1.2、強酸性泉の威力とは

玉川温泉の何がすごいかといえば、まず、「お湯の力」がすごい。

地元の温泉研究家で地方紙を経営していた阿部真平氏(1906~86年)が、湯治客の生の声をまとめた『世界の奇蹟 玉川温泉』(1971年刊)によると、「四百弐病に効く」とある。

ブナやアオモリトドマツの原生林が広がる自然環境豊かなエリア。江戸時代には硫黄の採掘が行われ、荒涼とした岩山のあちらこちらから噴煙があがっている。噴気孔は100カ所以上にもなるという。

98℃の源泉が湧き出す「大噴」

98℃の源泉が湧き出す「大噴(おおぶき)」では、ボコッ、ボコッとものすごい量の熱泉が湧き上がっていて、感動する。酸性・含鉄(II)・硫黄・二酸化炭素−アルミニウム−塩化物泉という温泉が毎分9000リットルも自然湧出している。これは1カ所からの湧出量としては、日本一だという。

この湯を引いた大浴場が、「玉川温泉」と、直線距離で約600メートル(車では7分ほど)離れた、1泊2食型の「新玉川温泉」2つの宿泊施設にそれぞれある。

大浴場にはぬる湯や気泡湯、箱蒸し湯、打たせ湯、歩行湯などがある(新玉川温泉)

pH約1.2(温泉分析書を見ると1.13)の強酸性泉のお湯は殺菌力がすさまじい。そのままでは刺激が強すぎるからと50%に薄めたぬる湯や立ち湯、寝湯などもあるが、薄めた源泉でも背中に引っかき傷でもあろうものなら、ピリピリとしみる。酸が皮膚を溶かしているともいえるから、入浴時間はせいぜい3〜5分。あまり長湯してはいけない。

飲泉するときは、かなり薄めて飲まなければいけない(新玉川温泉)

飲泉もできるが、そのまま飲むと、歯のエナメル質が溶けてしまう。50%の源泉をさらに38倍に薄めて飲むよう、注意書きがしてある。

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岩盤浴がスゴイ
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野添 ちかこ
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野添 ちかこ

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