凛とした佇まいのなかにもじんわり広がる温かみ『なにわ 翁』@大阪市
【西の花巻蕎麦】
「うどんでは麺の讃岐、ダシの大阪と言いますが、蕎麦においてもこの構図がぴたりと当てはまります。このダシがあってこその二八蕎麦、そして海苔とわさびのハーモニーが生かされるのだと思うのです」(門)
花巻そば1500円
牧元さん、花巻蕎麦は江戸発祥ですね。寒い季節に温かい蕎麦となれば、十割蕎麦より二八を選んでしまいます。今回は、大阪の『なにわ翁』。店名からもお分かりになると思いますが二八蕎麦の雄『翁』(現・達磨)の門下生です。
目に麗しい漆黒の海苔、真ん中にチョンと黄緑のわさび。ダシをすすると、なんともやさしくまあるい味に心が揺らぎました。続いて蕎麦です。二八のしなやかな食感とダシとの融合に気持ちが溶けてしまいそう。少しずつ海苔とわさびを溶くと、海のミネラル分と上品な辛みがダシをより豊かにし、蕎麦の風味も感じるのです。
「祖父が始めた店で、ダシはカツオ、ウルメイワシ、サバ、メジカとそのレシピを守っています。昆布は真昆布。ざるのツユは修業先のまま」と主人の勘田拓志さんはにこやかな表情で語ります。
蕎麦はざるもかけも同じですが、茹で時間が前者は40秒、後者は25秒。修業を終え、江戸前の蕎麦を目指し主人となった当初は「やはり粋な佇まいを目指していましたが、今では地元の方にもしっかり召し上がっていただける食事処として愛されることが大切だと思っています」とも話してくれました。「花巻そば」自体は凛としたオーラを放っていますが、食べた後の温かい気持ちが店内に満ち溢れているのです。
牧元さん、なにわの蕎麦処の在り方をぜひとも体験して欲しいのです。
[店名]『なにわ 翁』
[住所]大阪府大阪市北区西天満4-1-18
[電話]06-6361-5457
[営業時間]火・水・木11時半~17時、金・土は~20時
[休日]日・月
[交通]京阪中之島線なにわ橋駅から徒歩4分
門上武司
小誌でもおなじみの、あらゆる食情報に精通している西のグルメ王。食関連の執筆・編集を中心に、各メディアに露出多数。関西の食雑誌『あまから手帖』の編集顧問も務める。
※掲載情報は取材時のものになります。内容に変更が生じる場合があります。詳細は店舗にお問い合わせください。
文/マッキー牧元(東)、門上武司(西)撮影/鵜澤昭彦(東)、松浦稔(西)
※月刊情報誌『おとなの週末』2026年1月号発売時点の情報です。
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