今回のコースで一番の感動が訪れる
4品目は「森の猪」。今回食べた中で特に感動したひと皿がこれだった。
スロベニアの料理「ジュリクロフィ」がベース。従来は豚の背脂を使ったラグーが入るが、今回は猪を使用。隣町・中津川の猪肉で、生産者の樋田さんが3回血抜きをするため、高い鮮度が保たれているという。
ラグーの下に敷かれてるのが「すんき」。長野県木曽地方の郷土食で、赤カブの葉っぱを乳酸発酵させた漬物である。そのほか、チップ・刻みであしらわれた木曽レンコンに、ヒノキの葉のチップもトッピングされている。
これらを合わせて食べると、猪肉の旨み、スンキの発酵由来の香り、それぞれが渾然一体となった。ヒノキの葉を噛めば香りがブワッと広がり、森林にいるような錯覚に陥る。
お酒は、長野県塩尻市のワイナリー「ドメーヌコウセイ」の「メルロ ロゼ」。繊細でスッキリした味わいで脂をスッと切ってくれた。
感動の余韻が残る中出てきたのが「森の麹」。麦麹を使ったリゾットだ。発酵感のある独特の風味がクセになる。木蓮のエキスからとったソースとリゾットの間にある未成熟のイチゴの酸味がいいアクセントになっている。
スッキリと果実味のある、スロベニアのシャルドネとのペアリングだった。
ルーカシェフはシグネチャーメニューを設けていないらしく、強いて言えばということで供されたのが「森の卵と野菜」。
卵を低温のオイルでコンフィしている。シェフ自身がサラダに卵を絡ませて食べるということで、野菜を必ず合わせるのだとか。今回は、木曽の食材・なずなやなばなが選ばれた。
緑色のソースは、自然薯とほうれん草。そして、現地でふきのとうが食べられると知り、その味に驚いたことから着想を得たふきのとうの柄からとったオイルをちょろり。これが春の訪れを感じる、いい香りを放っていた。
お酒は、2年エイジングをかけたという日本酒。16代続く湯川酒造店を代表する銘柄「十六代九郎右衛門」の「生酛純米 金紋錦」だ。貴腐ワインを思わせる甘さが、料理との融合を生み出していた。






