時代が追いついた「子ぎつねちゃん」のデザイン
昭和の初め、岐阜県の味噌煎餅店で修業した初代・松久良三さんが、独立して京都で煎餅屋を開業。考案した白味噌の稲荷煎餅やきつね煎餅が人気になりました。良三さんに教えを乞うた兄弟や知り合いが、相次いで稲荷煎餅店を始めたことで、きつね煎餅は広まって伏見稲荷の名物に。しかし「どの店の煎餅も同じでしょ」とお客様に言われたことで、元祖ならではのオリジナルなものをと、2代目の隆さんが、長女・麻子さんが描いたイラストを元に、子ぎつねちゃんを作りました。ところがこのデザインが不評で「これはきつね煎餅じゃないと言われてね、失敗でした」と隆さん。
転機が訪れたのは2013年、3代目を継いだ徹さんが、祖父の型を復活させて、親子のきつね煎餅として販売を始めたところ、近年になって海外の観光客を中心に「デザインがカワイイ」と子ぎつねちゃんの人気が高まっているとか。「このアイスで、父が作った子ぎつねちゃんをもっと広めたいですね」と徹さんは嬉しそうに語ります。
稲荷煎餅では、季節物を入れると30種ほどの煎餅を手作りされています。お店の奥の作業場と、通りに面した焼台で手焼きされていて、通りからその様子を見学できます。取材の時に焼かれていたのが、辻占入り鈴せんべい。アメリカで誕生したフォーチュンクッキーは、北陸地方の神社で新年に配った辻占煎餅が発祥と言われています。京都・伏見稲荷で辻占煎餅を初めて焼いて販売したのは、松屋とのこと。
辻占入り鈴せんべいは、丸く焼いた煎餅を立体的に2回折って、中に大豆を入れて、おみくじを挟んでいます。焼き型から外して数秒以内に成形しなければならず、指先に絆創膏を貼っていますが、それも気休め程度とか。「熱いですが慣れれば平気ですよ」と徹さん。大豆が入っていて、振るとカラカラと音が鳴るのは、初代の良三さんと隆さんのアイデアだそうです。辻占煎餅は、恋占いなので、クジには恋愛にまつわるアドバイスが書いてあり、凶は入っていないそうなので、お土産にもおすすめです。






