えり焼、れば焼き、おにぎり。中央線うなぎ串の総本山、中野「川二郎」へ
最後に大御所中の大御所、中野駅北口の飲食街の中でもひときわ渋い一角にある『川二郎(中野区)』をご紹介します。1968(昭和43)年創業の、中央線うなぎ串焼き文化を代表する名店で、「川勢」の大将もこちらで修業されていたようです。
同店は、昭和から平成にかけて大ヒットした漫画「美味しんぼ」にも登場しています。主人公の山岡士郎が、友達の外国人を川二郎に連れてきて、日本の食文化やうなぎ文化を知ってもらうというストーリーでした。まず、「うなぎの燻製」からご紹介します。あらかじめ仕込んであった燻製を、しばし焼いて提供されます。これが、腰が抜けるほど旨い。燻製の香ばしい味とうなぎの甘さが絶妙に溶け合い。さらにうなぎの弾力が心地いい。少し値は張りますが、食べなきゃ損です。残っていれば、是非頼んでください。
続いてセットをいただきます。川二郎では「一人前」と呼びますが、5本の串焼きを合成してみました。
「うなちゃん」「川勢」と重なる部位の説明は割愛しますが、左上の「えり焼」は初登場ですね。鰻の頭部を使った串で、うなぎの旨味をしっかり感じます。下に「八幡巻」。左上の「ひれ焼」は、「川勢」同様ニラがまかれており、面白い食感と味わいを生み出します。順に「串巻き」、「きも焼」。いやー、うなぎはどこを食べても旨い。他にも肝臓だけを焼いた「れば焼き」や、「短冊」なども美味しいですよ~。
さぁ、締めにまいりましょう。「うな重」と叫びたいところですが、同店では扱っていません。代わりと言っては何ですが、「うなぎのおにぎり」があります。
これが、うな重はいらない!と思わず唸ってしまうほど旨い。うなぎのタレがご飯と絶妙に混じり合い、この旨さは以前ご紹介した、福岡・柳川の「せいろ蒸し」にも近いかもしれません。おにぎりと燻製は、「うなちゃん」「川勢」にはない逸品ですので、ぜひお召し上がりください。
ちなみに、「美味しんぼ」掲載当時に「川二郎」を切り盛りしてた大将は、現在はこのお店を家族に譲り、同じ中野で『味治(みはる)』というお店を営んでいます。メニューはほぼ川二郎と同じですが、ランチも営業、うな重もあるので重宝します。味はもちろん元祖ですので間違いありません。中央線にはほかにも『くりから(中野区)』、『いろは亭(中野区、杉並区)』などなど、うなぎ串の名店が並びます。
では、なぜ中央線に集中しているのか、AIに聞いてみました。以下に引用します。
中央線沿いの駅周辺は、戦後から高度成長期にかけて「地元の常連客」「学生」「会社員」が集まる飲食街として発展しました。こうした街では、高級なうなぎ料理よりも、気軽に楽しめる串焼きスタイルが受け入れられやすかったのです。つまり、江戸の伝統を、昭和の駅前酒場に落とし込んだ文化とも言えます。
本当かどうかはわかりませんが、なるほど、説得力は感じます。
中央線では、中野や荻窪など、大規模な再開発が進みます。新しくなる街を歓迎する一方で、中央線ならではの食文化はいつまでも残ってほしいものです。
文・写真/十朱伸吾
おとなの週末Web専属ライター。全国のご当地グルメを求めて40年余。2013年には、“47都道府県食べ歩き”を達成した。訪れた飲食店は1万軒をゆうに超える。旅と食とお酒をこよなく愛するオプチミスト。特にビールには一家言あり。競馬と写真とゴルフも趣味。週1の自転車ツーリングとサウナでダイエットにも成功した。好きな言葉は「発想力は移動時間に比例する」。





















