数人がかりで食べたい!? 山盛りの蕎麦発見! 完食できるか挑戦して来た
「ざる」の富士山盛り
1キロ、550円なり!
立ち食いやセルフサービスの蕎麦店に、客がまず求めるモノといえば……なんつったって安くて胃袋大満足!!
そんな満腹コスパの最高クラスの蕎麦といえば、神奈川県にチェーン展開する『味奈登庵』の「富士山盛り」にとどめを刺す!
フルサービスの店舗とセルフサービスの2種類の店舗があるこのチェーン。
実食したセルフサービスの武蔵小杉店の「ざる」(蕎麦もうどんも可能)の富士山盛りは……いいですか、読者の皆様、ちゃんと読んでくださいよ、なんと550円でズバリ1kg!!
もはや、出てきた蕎麦を思わず拝む偉容!
さらに、こういう大盛りメニューってシェアしちゃいけない店もあったりしますが、「取分け汁/ 120円」を頼めば、シェアも無問題の太っ腹! さらに冷たい麺類はすべて220円追加で富士山盛りになるというダブル太っ腹なのだ!!
その量からして、こりゃあ家族でシェアするお客さん多いだろうなァ~と店内を見回すと、驚くことにひとりで注文しているお客さんがかなりいるッ! こりゃあお客さんも食後は幸福の太っ腹だ!!
「味奈登庵 武蔵小杉店」
[営業時間]11時~21時45分LO
[休日]無休
せいろあり、焼きそばありでカオスな味わい 蕎麦屋が営む蕎麦の店に行ってみた
経営母体が“意外”といいますか、考えてみればしごく必然で真っ当なんだけど、でも意外と少ないパターンのお店を2軒!
まずは老舗蕎麦屋が営む立ち食い蕎麦。これ、あんまり聞いたことないでしょ~。それも麻布十番に本店を構える老舗かつ超有名店の『永坂更級 布屋太兵衛』が、立ち食い蕎麦をやってるんですよ。
場所は新宿駅西口直結。フルサービスの『永坂更科 布屋太兵衛』の横に立ち食い専門店舗があるのだ。
豚肉の大きめ角切りがゴロゴロ入ったかき揚げの載る「肉天そば」800円は、立ち食い店舗にしかないメニュー。老舗の味と立ち食いの気軽さが同時に味わえるのだった。
肉天そば(800円)
立ち食いオリジナル
「永坂更科 布屋太兵衛 新宿地下鉄ビル店」
[営業時間]10時半~21時半LO
[休日]無休
東急多摩川線鵜の木駅にある製麺所「早川製麺所」は、麺を販売する店舗の裏で立ち食い蕎麦『はや川』を営業。
蕎麦にうどん、ラーメンからカレー、丼物まで豊富な品書きの中でも、地元大田区民が「抜群すぎる!」と大絶賛するのが焼きそば。
写真の「あんかけ焼きそば」は370円。麺の歯応えといい味わいといい、立ち食いで満足直後、必ず麺も買っちまうのは必須だ。
あんかけ焼きそば(370円)
麺の美味しさをご家庭でも
「はや川」
[営業時間]7時~14時
[休日]日
目当ては蕎麦じゃないとの噂 秀逸&大人気のサイドメニューを食べて来た
立ち食い蕎麦通が、その味を絶賛する店って、蕎麦以外のサイドメニューもやっぱり旨いんですよね。
鰹節問屋直営の“旨い”立ち食い蕎麦店として名高い『そばよし』には「おかかごはん」というサイドメニューがある。
「おかかごはん」
たっぷりかけて召し上がれ!
「半ライス」100円か「並ライス」200円を頼んで、卓上のかけ放題の粉かつおをご飯の上に振りかけ、そこにお醤油を数滴垂らすのだ。途端に立ち上る鰹節の奥深い香り! もちろん蕎麦からも鰹の香りが漂い、目の前は鰹の香り祭!!
あ、この店の半径20mくらいからして、かなりの鰹の香り祭でもありますが。蕎麦をたぐっては、合間におかかごはんをアフアフかっこむ。これぞ立ち食いならではの美味しいダイナミズム!!
ちなみに下は、人気の「かきあげそば」440円なり。
「そばよし 日本橋本店」
[営業時間]7時半~20時
[休日]土・日・祝
銀座と日本橋の立ち食い『よもだそば』の、蕎麦と同じくらい人気のメニューが「よもだカレー」500円。
本格的なスパイスと蕎麦屋ならではのつゆがミックスされた味わい。トマトの酸味、玉ネギの甘み、そしてゴロッと入った骨つき鶏モモ肉。まさしく“和風インドカレー”の極致である。
よもだカレー(500円)
カレー目当ての客も多し!
「よもだそば 銀座店」
[営業時間]7時~22時
[休日]無休
江戸前のネタの店あり、とにかく種類豊富な店もあり こだわりの天ぷらを試してきた
立ち食い蕎麦のトッピングの王様といえば、これはもう天ぷらである。
そんな天ぷらが白眉の店が、本郷三丁目の『そば処 はるな』。なにしろ“ハゼ”の天ぷらがあるのだ。江戸前の天ぷらといえば昔っからその筆頭は“ハゼ”ですからね。
とはいえ、なかなか天ぷら屋さんでも、どこにでもあるっていう代物じゃないハゼが、「はぜ天そば」420円を頼めば食べられるっていうこの僥倖!!
ホクホクと、そしてフワリとして香ばしいハゼ天と蕎麦のダブル江戸前には感涙。
はぜ天そば(420円)
これぞ江戸前ダブルの旨さ
「そば処 はるな」
[営業時間]7時半~18時半
[休日]土・日・祝
立ち食いなのにこの価格!? 千円越えもあり! 超高級立ち食い蕎麦店を発見
豚つけ蕎麦(850円)
蕎麦の上に豚肉が鎮座というスタイルで供される
立ち食いとは思えぬクオリティ
三軒茶屋に高価格メニューを提供する、異色のセルフサービス蕎麦屋があるという噂を聞きつけ、その店『蕎麦処 乃日田井』へ。
シンプルな外観、かがまねば入れぬにじり口のような入り口。8名ほどが並べる大理石張りのカウンター。すべてシックな雰囲気だが、自販機で食券を買うという、間違いなくセルフサービス店舗。
その自販機のメニューを見ると、お~一番安い「豚つけ蕎麦」が850円。一番高い蕎麦は「鴨南蛮蕎麦」などが1760円。これは確かにセルフらしからぬ高価格帯だ!
ただ蕎麦は、逆にセルフではありえない注文からの茹でたて。店主ひとりで店を回していたので、高級蕎麦店クオリティーを、ワンオぺで切り盛りする方法としてのセルフシステムなのだろう。
酒やつまみも豊富だし、白ワインは甲州で220円と、これはリーズナブル!
ここは「あり!」と大声で叫びたい。
「蕎麦処 乃日田井」
[営業時間]12時~15時半前後、19時~22時半前後、土・日・祝12時~20時半前後
[休日]元日
東京駅内で唯一の店 ここにしかない味、見つけました
かつ煮そば(590円)
カツ煮が鎮座しボリューム満点
立ち食いといえば駅蕎麦、駅蕎麦といえば立ち食いというくらい、駅と立ち食い蕎麦は切ってもきれない縁がある。だが日本のセントラルステーションたる東京駅の構内に今、立ち食い蕎麦屋はたった一軒しかなかった。
それが東海道新幹線18・19番ホームの『東京グル麺』だ。この店のオススメはカツ煮がド~んと鎮座した「かつ煮そば」590円(うどんも可)。
予想を凌駕する豚肉の厚さに歓喜しつつ、列車の時刻を気にしながらたぐる蕎麦の美味さ、そして郷愁! いいね~。
「東京グル麺」
[営業時間]6時45分~20時半
可能性が広がる新しい美味しさ ファン急増中の店に行ってきた
料理が常に革新を続けているように、立ち食い蕎麦もその革新と発展は止まらない。
上野の『喜乃字屋』には「フォアグラエスプーマもり」980円がある。エスプーマってスペインの分子料理の「エル・ブジ」開発の泡立て調理器具ですよ。それが蕎麦に!!
フォアグラの濃厚な味が軽やかに泡立ったつけ汁。店内ポップには“仏蘭西人もびっくり”とあったが、いやいや仏蘭西人どころか全地球人びっくり。
ビックリしつつ、こりゃあ~汁まで飲み干しちゃうなぁ~。
フォアグラエスプーマもり(980円)
フォアグラのコク、きいてます
「喜乃字屋」
[営業時間]10時~23時LO
[休日]施設に準じる
ロックが流れる店内で、ボトルキープもできる? 酒が飲めると聞いてすっ飛んで行きました!
立ち食い蕎麦店でも、夜になるとお酒が呑める、いわゆる“二毛作”の店が少なくない。
とはいえ、大手チェーン『ゆで太郎』で、呑めるどころかボトルキープまでできる店があるのは意外じゃない? それが可能なのは、『麻布台店』『豊洲店』そして今回行ってみた『新橋赤レンガ通り店』。
同店は、午後4時からアルコールとツマミを販売開始。ツマミも蕎麦屋的な板わさなどはもちろん豚キムチなんてのもあり、呑む人はセルフではなくフルサービス……ってほぼ居酒屋!!
ボトルは焼酎が2250円です。〆は「かけそば」340円で!
かけそば(340円)
〆の蕎麦ももちろん旨し
「ゆで太郎 新橋赤レンガ通り店」
[営業時間]営7時~22時(居酒屋営業は16時~)、土・祝7時~15時
[休日]日
『京橋 恵み屋』も、夜は立ち呑み可能な二毛作立ち食い蕎麦。だが店内にはエレキギターが飾られ、モニターではハードロックのライブが流れ、音鳴り響く。
石臼挽きの「十割蕎麦」(もり蕎麦のみで並盛り500円)、粋な肴に日本酒350円~は堂々たる蕎麦屋だが、ノリはロックバー。唇よ熱く蕎麦をたぐれ!
「京橋 恵み屋」
[営業時間]11時~売り切れまで(土は12時~)、18時~23時(土は~22時)
[休日]日・祝、第3土
立ち&セルフ蕎麦は基本なんでもあり!
ひと昔前……いや、すでに半世紀近く前ですね。まだ立ち食い蕎麦が黎明の時代。
その品書きといえば、かけ蕎麦に天ぷら蕎麦(当然、玉ネギメインのかき揚げ)と月見蕎麦、そして天ぷらと月見を合体させた天玉蕎麦くらいだった。
もちろん蕎麦は、茹で置きをチャチャッと湯掻いて「ハイお待ち!」でもあった。ちなみに、ほとんど待ってはいないんだけどね。
でもそんな時代が、「ウソでしょう?」ってくらいに、今の立ち食い蕎麦は、質もバリエーションも発展している。
思えば、今でも、「立ち食い蕎麦はコレですよ」というマニアが後を絶たないコロッケ蕎麦。その登場自体がもはやふた昔以上前だけど、コロッケを蕎麦にのせちゃうというその発想!
衣に汁が染み、具のジャガイモまでもが崩れ潰れてつゆに溶け込む、ジャンクだけど堪らなく旨い、あのコロッケ蕎麦。この出現が、「旨けりゃなんでもあり!!」という、今に至る立ち食い蕎麦や、セルフサービスの蕎麦店の基本方針を決定付けたに違いない。
“なんでもあり”だから、その発展のベクトル方向は様々だ!”安くて腹一杯”という、庶民が最も希求したベクトル。”もちろん味も追求”というベクトルは、秀逸なサイドメニューや感動的な天ぷらを生んだ。
なんつっても蕎麦と日本酒は相性が素晴らしいという事実が、立ち食い蕎麦でも呑めるお店を開店させ、いわゆる日本の料理としての蕎麦という概念すらブチ破るほどにニューウェイブに突き進むベクトルも登場させた。
老舗蕎麦店が立ち食い蕎麦にも進出するのは、なんでもありの自由な蕎麦作りを求めてのことかもしれない。
味が進化した分、おざなりの蕎麦では他店舗に対抗できない。これが店舗スペースの限られる東京駅をはじめとする駅蕎麦店の減少という事態を招いているということはあるかもしれない。
ただそれも進化に於ける淘汰だ。哀しいが受け止める! !
立ち食い&セルフのチェーン系蕎麦店。それは日本一自由に、そして最高速で発展し続ける料理なのだ.。
※店のデータは、2019年12月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。