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週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。

著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本稿では連載漫画を収録した単行本のなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。

長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第2回目は、「春のちらし寿司」です。

ちらし寿司は「作って食べる」伝統行事の食事でダントツ!

3月3日は、邪気を払い女の子の健やかな成長と幸せを願う「ひな祭り」です。また、旧暦3月3日頃は、桃の花が咲く時期でもあるため、「桃の節句」とも呼ばれています。特に女の子のいるご家庭では、ひな人形を飾り、お祝いの食事として酢飯の上に華やかな山海の具材を散らした「ちらし寿司」が食卓を彩り、賑やかに過ごすことでしょう。

リビングくらしHOW研究所が2019年、全国の主婦1123人を対象に「節分」「ひな祭り」「端午の節句(こどもの日)」「お彼岸」「お月見」「冬至」のなかで、決まって食べる行事食がある伝統行事について聞いたところ、「節分」が64.2%で最も多く、次に「ひな祭り」が45.7%で続きました(複数回答)。

そのなかで、それぞれの行事食を「どのように用意しているか」を聞くと、「作って食べる」割合が、ひな祭りの「ちらし寿司・五目寿司」81.5%であるのに対し、節分の「太巻き寿司・恵方巻」は30.7%にすぎず、64.5%が「購入したりお店で食べる」と答えています。

ちなみに、「端午の節句」にちらし寿司を「作って食べる」割合は52.5%とひな祭りと比べかなり低くとどまっています。お祝い膳やおもてなしに欠かせないちらし寿司ですが、特にひな祭りには、各々の家庭で作られている頻度が高いことがわかります。

エビ、レンコン、豆…縁起物、旬のものに願いを込めて

地域によっても、さまざまな具材が使われるちらし寿司。なかには縁起物として想いが込められた具材もある(Photo/Skyfield-Stock.Adobe.com)

なぜ、ひな祭りにちらし寿司を食べるようになったのかはっきりしていませんが、ごちそうとして定着したのには、使っているそれぞれの具材に深いワケがあるようです。

エビは、腰が曲がるまで長生きできるように、また脱皮を繰り返すことから「出世祈願」、赤色には「魔除け」の意味があります。穴の開いたレンコンは、先々まで見通しがきくように、豆は健康でマメに働けるようにとの願いが込められています。

また、春の訪れを告げる菜の花など旬の食材も使われ、出始めのタケノコを入れる地域もあります。タケノコは成長が早いことから、「天に向かってすくすく育つように」との意味合いがあります。生命力あふれる旬のものを食べれば、邪気払いになるうえ、具だくさんのちらし寿司には、生涯食べ物に困らないようにとも言われています。

また、ちらし寿司と一緒に添えられていることの多い「はまぐりのお吸い物」ですが、二枚貝のはまぐりは、貝同士がぴったり合わさることから、「ひとりの人と生涯連れ添う」意味合いがあります。

このように、ひな祭りのちらし寿司には、縁起物や旬の食材がふんだんに使われていることから、昔もいまも変わらぬわが子の健やかな成長を願ってやまない親心がひしひしと伝わってきますね。

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クッキングパパ登場レシピ「主役は春の海の恵み」...
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この記事のライター

中島幸恵
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