クッキングパパ登場レシピ「主役は春の海の恵み」
ところで、関東で「ちらし寿司」といえば、酢飯の上にマグロやタイなどのお刺身や厚焼き卵、キュウリ、ガリなどがきれいに盛り付けられた一人前の「海鮮ちらし」がまず思い浮かぶのではないでしょうか。
クッキングパパ「COOK.436春いっぱいのちらし寿司」では、この関東風に近い魚介が主役です。サヨリや車エビ、シャコといった春の海の幸が丁寧なひと手間で処理された後、たっぷり豪快に盛り付けられています。
◆「腹黒い」はサヨリから!? ガラス細工のようなお腹を割くと、意外な発見!
なかでも、年明けから4月にかけて出回るサヨリは、「春告魚(はるつげうお)」とも呼ばれる高級魚で、刺身や天ぷら、焼き魚で食べます。スマートでツンと突き出た下あごとガラス細工のような美しい見た目が印象的です。ところが、お腹を割いてビックリ! 意外や意外!?真っ黒! この部分は、苦みや臭みがあるので、調理のときはしっかりと処理しなければなりません。レシピでは三枚におろして塩をふった後、酢でしめています。
ちなみに、内心悪だくみを持っている人を「腹黒い」といいますが、これはサヨリが由来になっていると言われています。サヨリを三枚におろす作業は、調理に慣れていないとハードルが高いかもしれませんが、「腹黒い」うんぬんを自分の手で確かめるためにも、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
さて、「春いっぱいのちらし寿司」を作ったのは、荒岩主任(当時)の部下、夢子さん。職場一美人で仕事がデキる彼女は、これまた職場一お調子者の田中くんと結婚し、第一子の誕生を間近に控え、幸せいっぱいです。美人で仕事も家事も完璧にこなす夢子さん、「腹黒い」とは無縁な彼女のおもてなしにいっそうおいしく感じられることでしょう。
※現在は当時の状況と異なる場合があります。
文/中島幸恵、漫画/うえやまとち、メイン画像/sasazawa-Stock.Adobe.com
◆『クッキングパパ』とは?
福岡市博多を舞台に、商社の営業課に所属するサラリーマン、荒岩一味が家族や同僚、友人らに得意な料理の腕前を披露、食を通じて周囲の人々に笑顔とパワーを与える物語。作中ある料理のレシピは、定番料理からオリジナルメニュー、地元九州の郷土料理まで多岐にわたり、詳細なイラストとポイントを押さえた簡潔な説明はいま、すぐ作りたくなると好評を博している。
週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で1985年から連載している人気シリーズで、2022年1月現在、単行本は160巻。
※「おとなの週末Web」の記事では本稿紹介の漫画、クッキングパパ 「春いっぱいのちらし寿司」 を一話丸ごと読むことができます。