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週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。

著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本稿では3月3日号で通算1600話を突破した膨大なエピソードのなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。

長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第3回目は、「桜餅」です。

落ち葉の再利用というアイデアから生まれた桜餅「長命寺」

大寒を過ぎ、立春を待ちわびるあたりから、和菓子店の店頭に並び始める桜餅。

四季折々の美しさを表現した和菓子の中でもひときわ季節感あふれ、淡いピンク色でころんとした愛らしい形と、華やいだ香りにほっこり癒される人も多いことでしょう。

全国和菓子協会のホームページには、江戸時代、東京・向島の長命寺の門番が、大量に散った桜の葉の再利用を考え、塩漬けにして餅に巻いて門前で花見客に売り出したところ、とても好評だったと記載されています。これがいわゆる“関東風”と呼ばれる長命寺を起源とする桜餅で、小麦粉を薄く焼いた生地であんを包み桜の葉を巻いたものです。

後発「道明寺」が各地を席巻してイメージ定着!?

桜餅といえば、今では全国的に「道明寺」がポピュラーといえそうだが、歴史が深いのは写真のような「長明寺」のほうだという(Photo/gontabunta-Stock.Adobe.com)

一方、関西では大阪の道明寺が1000年以上前に発案した「道明寺糒(ほしい)」という餅米を蒸して干してから粗く引いたものをまんじゅうのように丸め、中にあんを入れ桜葉で包んでおり、「道明寺桜もち」と呼ばれています。起源は明治30年頃とされ、“関東風”に比べて歴史は浅いですが、いまでは全国的に親しまれています。

民間気象情報会社「ウェザーニュース」が2018年、全国各地の会員6510人に「桜餅といえばどっち?」として、関東風「長命寺」、関西風「道明寺」「両方(長命寺と道明寺)」のいずれかを調査しました。それによると、「長命寺」としたのは秋田のみ。「両方」は、関東1都6県のほか岩手、山形、長野、富山、石川、島根でした。なんと、その他33道府県はすべて「道明寺」。「道明寺」が「長命寺」より後発ながら、桜餅のイメージとしてしっかり定着しているようですね。

クッキングパパ「COOK.123春を満喫! 桜餅」で取り上げるのも、「道明寺」です。こちらのレシピでは、食紅を使わずこの時季らしいイチゴを絞った果汁で色付けしているため、市販のものよりあでやかな美しさと甘酸っぱい香りが一段と春らしさを感じさせてくれます。
実はこちらの桜餅、作中では職場一のお調子者、田中くんが博多人形の卸問屋のご令嬢と初めてお見合いデートをした際に重要な役割を果たしています。

◆形よし、香りよし…名脇役「オオシマザクラ」の葉を塩漬けして風味豊かに

さて、桜餅に欠かせないのは何といっても桜の葉です。塩漬けされた葉は、ほのかな桜の香りをまとい、甘じょっぱさを引き立てるアクセントになっているうえ、乾燥も防いでくれます。また、桜餅を食べる際、葉まで食べるかどうかさまざまな意見があるようですが、ここでは、葉そのものに目を向けてみましょう。

桜葉の全国シェアの70%を占める静岡県松崎町によると、桜餅に使われる桜の種類は「オオシマザクラ」と呼ばれるもので、主に伊豆半島に自生し、4月上旬あたりに白い花を咲かせます。オオシマザクラの葉には、特有の芳香成分の含有量がほかの桜より多く含まれており、塩漬けして発酵するとさらに香りが増すとのこと。葉の形もよく、裏面に産毛が全くないことから柔らかく食べやすい特徴もあります。

桜葉の収穫は花が咲き終えた毎年5月上旬から8月下旬にかけて、キズをつけぬよう手で1枚1枚丁寧に摘み取ります。その日のうちに塩漬けされ、約半年かけて風味が増したら完成です。

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