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週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。 

著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本欄では連載漫画を収録した単行本のなかから、毎週1つを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。

長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第1回目はホワイトデーを控え、今月2月のイベントでもあった「バレンタインデー」のチョコレートを取り上げます。


日本初のバレンタインフェア 売り上げはわずか170円!?

毎年2月14日は、世界各地で親しまれている「バレンタインデー」です。欧米では恋人のほか友人、家族らが互いに菓子や花束などのプレゼントを贈って、愛を確かめたり、感謝の気持ちを伝える大切な日とされています。日本でもこの時期、百貨店やスーパーの特設コーナーに色とりどりのチョコレートが並び、連日、女性客を中心に賑わっています。

ところで、日本でバレンタインにチョコを贈る習慣が根付いたのは、いつごろからなのでしょうか。

大手洋菓子メーカー「メリーチョコレートカムパニー」(東京)のホームページによると、1958(昭和33)年、同社社員がパリ在住の友人からの手紙でバレンタインデーを知り、チョコレートの販促イベントにつなげようと、都内の百貨店で日本初のバレンタインフェアを行ったことが記されています。この時の売り上げは、50円の板チョコ3枚と20円のメッセージカード1枚合わせて170円だったそうです。

翌年、メリーは、贈り手と相手の名前を入れるハート型のチョコレートを売り出したところ、斬新なアイディアが注目を集めます。さらにメリーはバレンタインを「女性が男性に1年に1度愛の告白ができる日」と提案。このキャッチコピーが女心をグッとつかみ、1960年代以降、多くの菓子メーカーが相次いで趣向を凝らしたチョコレートで、バレンタイン市場に参入、拡大する一方で、「バレンタインデーは、女性が男性にチョコを贈る日」といった日本独自の解釈が定着していきました。

女性の社会進出とともに出現した「義理チョコ」

日本でも定番行事として定着したバレンタインデーとチョコレート。しかし、その発端は少々意外なものだった? Photo/Free1970-Stock.Adobe.com

日本独自のバレンタインの定番といえば、いわゆる「義理チョコ」ではないでしょうか。COOK.19「ひと味もふた味も違うバレンタイン・チョコ」のなかでも、職場の女性が「たいへんだな また今年も義理チョコの季節になったか」とため息をつくシーンがあります。

義理チョコとは“恋愛感情抜きで”日ごろお世話になっている友人や仕事関係の男性に贈るチョコレートのこと。1980年代、女性の社会進出に合わせるかのように、職場で感謝を伝えたり、円滑なコミュニケーションを進める手段のひとつとして浸透していきました。

まだまだ職場の男性比率が高かった時代、多くのチョコレートを用意する女性側の負担は大きく、このセリフもそのような世相を表しているのでしょう。

■「日本は、義理チョコをやめよう。」海外ブランドが新聞広告で呼びかけ

「クッキングパパ」の連載とほぼ期間がかぶる義理チョコの風習ですが、最近では、徐々に取りやめる動きも見られます。

「日本は、義理チョコをやめよう。」

2018年2月、ベルギーの高級チョコレートを日本で展開する「ゴディバ ジャパン」(東京)が新聞広告でこう呼びかけ、話題になりました。広告の文中で「(バレンタインは)社内の人間関係を調整する日ではない」と日本の風習に疑問を呈しています。

また、百貨店「松屋銀座」(東京)が2021年11月、メルマガ会員700人に「2022年バレンタインデーに関する意識調査」をおこなったところ、義理チョコの個数について44.9%が「今年は買わない」と答え、昨年の20.6%を大幅に上回っています。テレワークが推奨され、出勤が控えられている最近のオフィス事情を反映しているほか、「会社で義理チョコが禁止されている」との理由も見受けられます。

■今年のトレンドは、自発的に感謝や好意を伝える「世話チョコ」

いっぽう、今年のバレンタインのトレンドとして、百貨店を中心に聞こえてくるのが「世話チョコ」。「お世話になった人にお礼の意味を込めて贈るチョコレート」(大丸松坂屋ホームページより)のことで、“本命”以外の相手に「感謝の気持ちや恋愛感情ではない好意を伝える」(同)チョコとのこと。自発的に好意を伝えるのが、義理チョコとは違うようで、ある意味、本来のバレンタインの意味に近いのではないでしょうか。

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中島幸恵
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