月刊誌『おとなの週末』で好評連載中の「口福三昧(こうふくざんまい)」は、漫画家のラズウェル細木さんが、試行錯誤を繰り返しながら食を楽しむ様子を描いた漫画エッセイです。2021年6月には、連載をまとめた単行本『ラズウェル細木の漫画エッセイ グルメ宝島 美味しい食の探検へ』(講談社ビーシー/講談社)が刊行されました。単行本未収録の雑誌掲載作を『おとなの週末Web』で特別公開します。ラズウェルさんの“自作解説”とともに、お楽しみください。
まず頭に浮かんだのは「酒盗」と「チーズ」 計6種を考案
「難題といえば、難題。でも、おもしろいなと」
今回紹介する作品は「日本酒に合うサンドイッチを作る!」(『おとなの週末』2021年4月号掲載)です。タイトル通り、日本酒のおつまみとして美味しいと思えるサンドイッチは、どのような具材を組み合わせればよいかということを試行錯誤するお話です。たしかに、サンドイッチを食べながら飲むお酒として頭に浮かぶのは、ビールや、ウイスキーなどの洋酒でしょう。担当編集者から与えられたお題に、ラズウェルさんは冒頭の言葉のように、意欲がわいたと言います。
「ハムとかを挟んだ普通のサンドイッチだったら、面白みがないと思って。ビールとかチューハイと合わせるのだったら、それでもOKですけど。日本酒にサンドイッチを合わせるということはまずやらないのであって、じゃあ、合う奴(具材)を探ってやろうじゃないかと」
では、どうすれば、日本酒に合うのか。ラズウェルさんが思いついたのは、以下のようなことです。
「サンドイッチといえば、だいたい、からしとマヨネーズが定番。お約束なので、絶対、マヨネーズを使おうと。そのマヨネーズに日本酒と相性の良さそうな素材を混ぜ、さらに合いそうな具材を選ぶことにしたんです」
まず頭に浮かんだ素材と具材は、「酒盗」と「チーズ」でした。酒盗マヨネーズに、スライスチーズを合わせたお味について、ラズウェルさんの感想は「酒盗の風味と塩分がチーズに馴染んでうまかったです」。この時に飲んだ日本酒は、純米で常温だったそうですが、これにも「よく合った」とのことでした。
今回作ったサンドイッチは、下記の通りです。
「酒盗マヨ+スライスチーズ」
「からしマヨ+菜の花昆布締め」
「海苔佃煮マヨ+かんぴょう」
「生からすみマヨ+生大根」
「山椒マヨ+うなぎ蒲焼き」
「わさびマヨ+刺身」
意外に大傑作だった「刺身のサンドイッチ」
素材と具材選びと合わせ、気を使ったのは、“厚み”でした。
「わりかし、普段はサンドイッチを食べないんです。ただ、新幹線の中では食べるんです。ビールや缶チューハイを飲みながらだと、弁当よりもつまみやすいから。車内で、お酒のおつまみとしては、合います。外国だと、ひとつの食事としてできあがっているのでボリュームがすごい。しかし、日本のは中身が薄い、厚みがないので、つまみやすいんです。お酒のつまみとしては、日本の薄いタイプが向いています」
食パンは、「6枚切り」が一般的だと思います。今回用意したのは「8枚切り」でした。
「パンが前面に出てくると、日本酒に合わないので、いかにパンを抑えるか……」。
種明かしをしますと、今回最も適していたのは、意外にも「刺身」でした。
「どう考えても、合わないだろうと思っていたので。それが、やってみたら、いけたんで」。ラズウェルさんが考える日本酒の肴の代表的なものは、魚介類とのこと。それで、刺身を合わせることを思いついたと言います。漫画の中で、ラズウェルさんは、「大傑作だった」と太鼓判を押していますが、同時に、個人で好みも違ってくることから「ただしあくまでも自己責任で…」とも付け加えています。
計6種類を試して、優良可の評価で、結果は「優」が2、「良」が2、「可」が1、そして「不可」がひとつありました。ラズウェルさんは、漫画の中で「最悪!」「まずい」と言い切っています。
気になる評価の内容は、ぜひ漫画でご覧ください。