できたてのどぶろくが飲めて醸造家と話もできる⁉
きれいな味わいで人気の清酒「紀土(きっど)」。その蔵元である平和酒造が「どぶろくを身近に、生活に密着したお酒としての発信拠点にしたい」と、東京・日本橋兜町にブルワリーパブ形式の店舗『平和どぶろく兜町醸造所』をオープンさせた。
そもそもどぶろくとは、米・米麹・水を仕込んで発酵させたあと、濾さない濁り酒。近年人気が高まっているこのどぶろくを、東京のど真ん中・日本橋で醸造。しかも、そのできたてがいただけるというのだ。
軒先に杉玉が飾られた店に入ると、左側がカウンター席、右側が立ち飲みエリアになっている。
杜氏をはじめとする醸造家たちが日替わりで店に出ることもあるというのも大きな魅力。もしもお話できたとしたら、なんとも贅沢じゃないか。
ふと見ると立ち飲みエリアの向かいに「醸造室」と書かれた部屋がある。ここが醸造家たちが最も活躍する場だ。
特別に醸造室の中を見せていただいたのだが、育ちかけの麹や発酵途中など、7リットルが入るホーロー容器がズラリと並び、個性豊かなどぶろくたちが待機している。
温度や醸し加減などを徹底管理していても、1日経るだけで味わいがガラッと変化するのだそう。それは、もろみを絞らずにまるごといただけるどぶろくならではだなと思うと同時に、それは連日通って味をチェックせねば! という気持ちがむくむくと湧いてくる。
ちなみに、どぶろくを仕込む水や和らぎ水も和歌山県の蔵で使っているものと同じ、高野山を源流とするきれいな水を蔵から直送している。和らぎ水をひと口いただくと、身体にスルスルと染み込むような、本当に清く柔らかくなめらかな水だ。
立ち飲みエリアで飲んでいてもし店内が静かだったら、ぜひ耳を澄ましてみてほしい。実は密やかにどぶろくの発酵音がBGMになっている。パチパチ、プチプチといった響きから満ち満ちる生命力を感じられるだろう。