週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で連載中の「クッキングパパ」は、主人公のサラリーマン荒岩一味が、得意の料理の腕を振るって、家族や同僚らとの絆を深めるストーリーが人気。
著者のうえやまとちさん自身が、試行錯誤を繰り返しながら作り上げた自信作のオリジナルレシピを、詳細なイラストと臨場感あふれる筆致で紹介しています。本欄では3月3日号で通算1600話を突破した膨大なエピソードのなかから、毎週ひとつを取り上げ、その料理にまつわる四方山話をお届けします。
長引くコロナ禍で、自炊をする人が増えているいま、「クッキングパパ」を参考に料理を作って食べて楽しんでみませんか。第44回は「フライドチキン」です。
クッパパ流「フライドチキン」レシピがヘルシーな訳とは?
フライドチキンは、アメリカ南部が発祥とされます。ザクッとかぶりついた瞬間、スパイシーな衣の食感とジューシーなチキンの味わいは、誰もがやみつきになる美味しさです。
ただ、本場のフライドチキンは、バターミルクに長時間浸したり、さまざまなスパイスを揃えるほか、ザクザクの衣の食感を出すために、小麦粉にトウモロコシの粉をミックスするといった、ふだんあまり使わない材料を別途準備するため、少しハードルが高いかもしれません。
もっと気軽にみんなが喜ぶ味を作るなら、クッキングパパ 第9巻「COOK.83 荒岩おじさんのフライドチキン」をぜひ、ご参考に。鶏肉を一度蒸して柔らかくして、フライパンで焼き目をつけてから短時間で揚げることで、ヘルシーで香ばしいフライドチキンに仕上がります。
マリネ液で使うパプリカパウダーって?
鶏肉は、手羽元かドラムスティックといった骨付きを使用。中まで味が染み込むよう、フォークで両面に穴を開けます。
下味をつけるため、マリネ液を用意します。同量の醤油と酒の中に香味野菜、すりおろしたニンニクやショウガ、セロリやたまねぎ、ローリエなど風味づけに適した野菜を入れます。スパイスは、パプリカパウダーやコショウを。パプリカパウダーは、鮮やかな赤色をして彩りを添えるほか、香辛料というより、ほのかな甘みと苦みが特徴です。抗酸化作用のあるビタミン類などを含んでいるので、積極的に活用したいスパイスのひとつです。
マリネ液に漬けたら、時々かき混ぜながら、30分以上置きます。
揚げる前に、ひと手間加えるのがコツ。マリネ液を切った鶏肉は、中火で熱したフライパンに油をひいて転がしながら、全体に焼き色をつけます。
さらに蒸気が立ち込めた蒸し器に入れて、15~30分程度蒸します。こうすると、中はふっくら柔らかく仕上がるうえ、揚げるのも短時間で済むので、比較的ヘルシーにいただけます。
ザクッと厚めの衣に仕上げる秘訣は“待ちの時間”
いよいよ揚げていきましょう。
溶いた卵白に鶏肉をくぐらせ、小麦粉をたっぷりまぶします。フライドチキンは衣の食感もアクセントになるので、厚めの衣にするのがポイントです。
余分な粉を軽く落としたら、10分程度おいてなじませます。小麦粉を米粉に代えると、サラッと軽い食感に仕上がります。
油は180~190℃の高温で。すでに中まで火が通っているので、上下を返しながらこんがり色づくだけで充分です。その際、衣がはがれぬよう、表面が固まるまで触れないようにします。
取り出したら、しっかり油を切ります。肉汁を落ち着かせるために、10分程度休ませたら、風味豊かなフライドチキンのできあがり!
付け合わせのフライドポテトを揚げるなら、フライドチキンより先に済ませます。どちらも手が止まらなくなる美味しさです!
文/中島幸恵、漫画/うえやまとち
◆『クッキングパパ』とは?
福岡市博多を舞台に、商社の営業課に所属するサラリーマン、荒岩一味が家族や同僚、友人らに得意な料理の腕前を披露、食を通じて周囲の人々に笑顔とパワーを与える物語。作中ある料理のレシピは、定番料理からオリジナルメニュー、地元九州の郷土料理まで多岐にわたり、詳細なイラストとポイントを押さえた簡潔な説明はいま、すぐ作りたくなると好評を博している。 週刊漫画誌「モーニング」(講談社発行)で1985年から連載している人気シリーズで、2022年12月現在、単行本は163巻。