旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■クイズの答えは……
正解:柿
難易度:★★★☆☆
シャキシャキ、トロトロ、どちらがお好み?
10月下旬頃から柿が旬を迎えます。
柿は古来、日本で親しまれてきた果物で、縄文時代や弥生時代の遺跡からも種が発掘されています。さらに、奈良時代にはすでに栽培されていたという記録も残っています。
はじめはシャキシャキの食感とさわやかな甘みが楽しめ、熟すとトロトロの食感と強い甘みが楽しめると、熟し具合によって食感や味わいが変化することが魅力です。
柿とひと口に言っても、甘柿や渋柿、種ありや種なし、形も平たいものから丸くて縦長のものまでさまざま。その数は1000種類に及ぶといわれています。
柿の最大の特徴といえるのは、甘柿と渋柿があることではないでしょうか?
違いは、含まれるタンニンが水に溶けるか(水溶性)、水に溶けないか(不溶性)にあります。
渋柿のタンニンは水に溶けるため、口の中に入れたときに唾液に溶けて渋みを感じるのです。いっぽうの甘柿のタンニンは水に溶けないため、口の中で溶け出すことがないため渋みを感じないのです。
甘柿も未熟なときには渋みがありますが、熟すとタンニンが不溶性に変化するため、渋みを感じなくなります。
渋柿はアルコールや炭酸ガスを使って渋抜きをすることで、タンニンが不溶性に変化して甘くなります。また、干し柿にしても渋みを抜くことができます。
ちなみに、柿の実の中に見られる黒いシミのようなものはタンニンが酸化してできたものです。この黒いシミは「ゴマ」と呼ばれます。黒いシミがたくさんあると「食べても大丈夫?」と不安に思うかもしれませんが、食べても問題はありません。
少し前に、柿の食べすぎると胃の中に柿胃石と呼ばれる石ができて、最悪の場合は胃潰瘍や腸閉塞を引き起こすこともあるという怖い情報がとびかったことがあり、ちょっと「柿を食べるのが怖い」と思ってしまった人もいるかもしれませんね。
実際、柿のタンニンの主成分は「シブオール」というもので、これが胃酸と反応することで柿胃石が発生することがあります。
ただし、毎食後のデザートとして食べるなど、1日に何個も食べるようなことを続けなければ、健康被害の必要はないと考えられています。ちなみに、柿の摂取量の目安は、1日1個といわれています。