冬の京都の魅力を紹介する連載「冬の京都でパワーをいただく」。京都の日本海側“海の京都”を訪ねるルポの後編です。伝統文化を受け継ぐ漁師町・伊根町のおススメの観光スポットを紹介します。
まるで海上に浮かんでいるような「舟屋」の眺め
宮津市で「龍の願い玉」を納めた後はバスや観光船を利用して伊根町へ向かいます。海岸線に沿って立ち並ぶ舟屋と呼ばれる家々は1階に船揚げ場や作業場があり、2階が住居という造りが特長で、重要伝統的建造物保存地区にも指定される漁師町です。
おすすめは遊覧船で伊根湾から舟屋を眺める風景。湾を取り囲むように並ぶ舟屋はまるで海上に浮かんでいるよう。舟屋は人が暮らす私有地のため基本的に立ち入りできませんが、最近では見学できるよう開放された家や、宿泊施設やカフェ、飲食店などにリノベートされた舟屋も増えており、伊根湾を眺めながらゆったりお茶や食事を楽しむこともできるようになっています。
日本三大ブリ漁場のひとつ、江戸時代にはブリがもとで“切腹事件”
冬、「海の京都」にはカニやカキなどおいしい誘惑がたくさんありますが、伊根でぜひ食べたいのは寒ブリ。実は伊根町は日本三大ブリ漁場のひとつ。次々名前を変える出世魚であり、大きく成長することから、丹後地方では縁起物としてお祝い事でもふるまわれる習慣があるそう。そのおいしさは古くから知られており、江戸時代にはブリがもとになった切腹事件まで起きています。
冬の美味「ブリしゃぶ」が誕生したのもこの地。「ブリしゃぶ」発祥といわれるお宿、奥伊根の高台から日本海を望む旅館「油屋本館」で、温泉とブリ尽くしのコースをいただきます。