×

気になるキーワードを入力してください

SNSで最新情報をチェック

お正月に和菓子店を飾る「花びらもち」。真っ白な餅に包まれた甘いみそ餡が上品なこのお菓子は、天皇家の元旦の祝膳を模したものだという。お正月は、行事が続いて陛下をはじめ天皇家の方々も職員たちも大忙し。ようやく一連の行事が一息ついた小正月に召し上がるのが「小豆粥」。ともに甘いものが心を癒す。小正月の日のこのとき、職員にとっての喜びは、美智子さまを囲んだ小さな催しだという。今回は、天皇家のお正月の物語である。

icon-gallery

「花びらもち」「お福茶」「柳箸」「小豆粥」平安時代から続く食の風習が一般にも

いつの世も、仰ぎ見る方と同じようにしたいという人々の心は同じなのだろう。天皇家のしきたりの中から、一般が取り入れたものは多い。茶の湯のお菓子として、お正月を彩る「花びらもち」は、そのひとつである。

天皇家のお正月は行事が延々と続く。そのなかでも、食膳はさまざまな願いを込めてつくられる大切なものとされている。

天皇陛下が元日に臨まれる行事が、「晴の御膳(はれのごぜん)」である。奈良時代から平安時代にかけて国の制度が整い、諸国の珍味が伝統料理となって食膳にのぼるようになったのが「晴の御膳」なのだ。天皇陛下は、箸を立てて食べる所作だけをなさる。

この後でいただくのがほんとうのご朝食。なんと、献立はお菓子である「菱葩(ひしはなびら)」を中心にした膳となっている。「菱葩」は、うすく延ばした白餅の上に、小豆色の菱餅を重ね、白味噌と甘煮にしたゴボウをのせて二つ折りにしたものである。これは平安時代の『源氏物語』にも登場する食べ物で、今は「花びらもち」となって一般に広まっている。

皇居・宮殿

「家内喜」にあやかる「柳箸」

ちなみに、そのとき食事でお使いになるのは柳箸である。一般でも、おせちや雑煮を囲んで「寿」の箸袋に入った祝箸を使う家庭も多いだろう。両端が細くなって中が太い柳箸は、片方は神様、もう片方は人間が使うとされている。「家内喜(やなぎ)」にあやかるといわれ、現実的にも柔らかい木であることから歯を傷めにくいというやさしさが込められているという。

食事の最後に出されるのが「お福茶」。一般では昆布や梅干を入れた煎茶や白湯であるが、天皇家では抹茶に小梅干を入れたものを飲まれる。お福茶を飲むと風邪をひきにくいとされる。

宮内庁
次のページ
美智子さまを囲んで「小正月の手すさび」を楽しむ...
icon-next-galary
1 2icon-next
関連記事
あなたにおすすめ

関連キーワード

この記事のライター

高木 香織
高木 香織

高木 香織

最新刊

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌「おとなの週末」。5月15日発売の6月号では、「うまくてエモい!…