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外交官試験に合格し、海外生活で役に立つようにと料理教室に通われていた雅子さま。語学堪能な雅子さまらしく、レシピは大学ノートに英語とフランス語で書かれていたという。やがて皇太子浩宮さま(今の天皇陛下)とご結婚された雅子さまは、天皇家に初めて作られた美智子さまのキッチンを受け継がれた。今回は、新婚の雅子さまが浩宮さまに振舞われた、家庭料理の物語である。

日本料理教室に1年半通われていた雅子さま

皇太子浩宮さま(今の天皇陛下)と雅子さまがご結婚されて間もないころ、浩宮さまから大膳(皇室の調理担当)に電話が入った。

「雅子が料理を作りたいと言っていますので、手助けをしてもらえますか」

と、浩宮さまはおっしゃる。雅子さまがじきじきに日曜日の夕食を作られるというのだ。快諾した大膳の担当者は、食材を準備してお待ちしていた。

日曜日の午後3時半ごろ、雅子さまはエプロンをつけ、レシピノートを手に赤坂仮御所の階段を降りて大膳の調理場に入られた。その日のメニューは、インド風チキンカレーに、オニオンスープとサラダ。食材を確認した雅子さまは、さっそく調理に取り掛かられた。

玉ねぎを刻まれる手つきを見た大膳の人たちは、雅子さまがきちんとした料理の専門家について勉強されたことがあると気づいた。料理人は包丁の握り方と切り方を見ると、その人の専門分野がおおむね分かるという。雅子さまは日本料理の勉強をされたようだった。

大膳の人たちの見立てた通りだった。1986年10月に外交官試験に合格された雅子さまは、その年の暮れから1年半ほどの間、東京・銀座の割烹の料理長が講師をつとめる日本料理教室に通われていたのだ。料理教室では、包丁の重心に人差し指をのせて握るという基本から、料理長が手を取るように教えた。雅子さまは熱心に質問しながらメモを取られていたという。

巽櫓

やさしい家庭の味のオニオンスープ、チキンカレーは数種類の香辛料をブレンド

調理は手際よく進められた。雅子さまは、下ごしらえからすべてお一人で作られる。玉ねぎをじっくりと飴色になるまで炒め、甘みが充分に引き出されたところで、塩味を整える。オニオンスープのいい香りが調理場いっぱいに広がる。プロの料理人とは違う、家庭のやさしい味のスープである。

インド風チキンカレーも手の込んだものだった。鶏肉と野菜をたっぷり使い、ベースのカレーパウダーにご自分で数種類の香辛料をブレンド。さらにクリームを加えられて、本格的なインド風チキンカレーができあがった。時間をかけてていねいに作られたインド風チキンカレーとオニオンスープは、召し上がるお二人の笑顔が目に浮かぶような手料理であった。

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