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譲られたキッチンで作られる料理

レシピを書き込んだノートからは、雅子さまの勉強熱心な人柄が伝わってくる。語学堪能な雅子さまらしく、料理や食材について英語とフランス語を交えて書き込みがされている。日本語はちらほら見える程度である。習った料理のほかに、雑誌などから気に入ったレシピを書き写されたりもされていた。やがて料理の機会も増え、雅子さまは専門的な雑誌を読んでフランス料理に挑戦されるまでになったという。

天皇陛下(今の上皇陛下)と美智子さまが吹上御所にお移りになり、赤坂御所の改修工事が終わった1994年6月、浩宮さまと雅子さまは赤坂御所にお引っ越しされた。美智子さまが使われていたキッチンも、雅子さまに譲られたのである。

そうして雅子さまは、美智子さま譲りのキッチンで料理をされるようになった。海外のご出張から帰国された天皇陛下(上皇陛下)と美智子さまに、ケーキを焼いてお届けになったこともあった。食を通して、あたたかな家族のふれあいが持たれていったのである。(連載「天皇家の食卓」第11回)

夕暮れ

文・写真/高木香織

参考文献/『新しい時代とともに――天皇皇后両陛下の歩み』(宮内庁侍従職特別協力、毎日新聞社)、『殿下の料理番 皇太子ご夫妻にお仕えして』(渡辺誠著、小学館文庫)、『天皇陛下が愛した洋のレシピ』(窪田好直著、河出書房新社)、『美智子さま雅子さま 涙の日、深まる絆』(渡辺みどり著、講談社)

高木香織
たかぎ・かおり。出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』、カレンダー『永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へー』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。

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高木 香織
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