夜空にきらめく花火、緑のうず巻き、日本の夏の風物詩は数あれど、その照り、香り、味わいで心ときめかせてくれるとなれば、やっぱりうなぎ。ほぼ年に1回のうなぎ特集で調査・取材している編集部員、ライターが、「ここはおいしい!間違いなし!」という店をセレクト。味、技術、サービスなどすべてを加味した上で、自信を持っておすすめできる極上の店が登場します。店選びに迷ったらまず見てほしい、永久保存版です!
ライター菜々山、編集戎ザ・ベスト『うなぎ わたべ』 @春日
守りと攻めの姿勢に惚れ込んだ絶対的エース
初の出合いは今から10年ほど前のこと。以来、友人・知人に旨いうなぎ屋を尋ねられれば、真っ先にこの店の名を挙げるようになった。
虜になった理由は格別のふわとろ感。一般的な店で使われるうなぎよりも大きく肉厚なそれを仕入れ、細かな小骨までも1本ずつ丹念に抜く。そんな繊細な仕事の積み重ねで完成させるうな重は、口の中で儚く消えゆく淡雪のようだ。
うな重特上 5940円
さらに、味を守るだけでは終わらない、攻めの姿勢が『わたべ』の凄み。コロナ禍に始めたのが前代未聞のうなぎのフードトラックで、車内で備長炭を熾して店と変わらぬ炙り立ての香りを届けている。訪れる度に更新される新鮮な驚きと発見に、ますますファンになっていく。
[住所]東京都文京区小石川1-9-14 アトラスタワー小石川1階
[電話]03-3812-7448
[営業時間]11時半〜14時半(13時半LO)、17時〜21時(20時LO)
[休日]水・木
[交通]都営三田線ほか春日駅A5出口から徒歩1分
ライター肥田木、編集門脇ザ・ベスト『八重洲 鰻 はし本』 @八重洲
燦然と輝く江戸前の技の結晶にひれ伏せる
重箱に横たわる飴色の至宝に目が眩む。麗しい艶姿は美味の文化財に指定してもいいんじゃなかろうか。
鰻重「ろ」 5280円、肝吸 275円
これぞ江戸前の仕事。技を守り、味を追求し続ける4代目、橋本さんの姿勢にも実に惚れる店である。要のひとつ、継ぎ足しのタレは「どれだけ上質なうなぎをコンスタントにくぐらせるか」に重点を置くそうだ。ゆえに腕のいい養鰻池のうなぎを指名買い。
備長炭で焼きムラなく仕上げた柔肌はこっくりと深化したやや甘めのタレをまとい、舌に絡まりとろけていく。もち米を加えて適度なモッチリ感を出すよう調整した米とも完璧なバランス。重箱に詰まった技と矜持を味わえば、ひとつの芸術作品を鑑賞したような充実感に満たされる。
[住所]東京都中央区日本橋3-3-3 いづみやビル1階(建て替え中のため仮店舗)
[電話]03-3271-8888
[営業時間]11時〜13時半LO、17時~20時LO、土11時半~14時LO
[休日]日・祝、第1・3土(7、8月は11時半~14時LOで営業)、土用丑の日
[交通]JR山手線ほか東京駅八重洲北口などから徒歩5分