旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■軟体です
正解:マダコ
難易度:★★☆☆☆
生では噛み切れない!?
日本で食用として売られているタコにはさまざまな種類がありますが、もっとも流通量が多いのが「マダコ」です。タコ焼きなどに使われるのもほぼマダコです。
マダコは全国の海に生息していますが、とくに東北地方以南で多く獲れます。体長は80cm、主さは1.5kgくらいのものが一般的ですが、なかには3kgくらいにまで成長する個体もあります。
生のままだと身が硬く、噛み切れないほどです。そのため、生で食べることはごく稀で、一般的にはゆでて使用します。
なかでも有名なのは明石のタコです。明石海峡周辺から明石沖の潮の流りが速いところで生育することから、足が太く短く、ムキムキで、陸でも立って歩くほどと言われています。
ほどよい弾力があり、噛めば噛むほどに甘味が広がっていくような味わいで、食通を唸らす逸品です。
マダコは通年、販売されているため季節感がないのですが、漁獲量が多くなるのは7~8月にかけて。この時期のマダコは、身が柔らかく美味しいと言われています。
ただし、夏が旬とされるのは瀬戸内海や大阪湾で水揚げされるもので、関東以北で水揚げされるものが美味しくなるのは、冬といわれています。
残念ながら国産のマダコは高価で、手頃な価格で販売されているものの多くは輸入品です。なかでも、アフリカ大陸に位置するモロッコ、モーリタニアからのものが約7割を占めています。
とくにモーリタニアの近海は、上質なタコが生息する条件を満たす最高の場所ということで、日本の漁業関係者がモーリタニア人にタコ漁を指導。その結果、いまでは、モーリタニアは世界のタコ生産量トップ5に入るほどとなり、国の貴重な収入源となっています。
タコといえばタコ壺を使った漁をイメージする人が多いと思いますが、これはタコが狭い穴の中を好む習性を利用したものです。タコを傷つけず、ストレスを与えることなく捕獲できるというメリットがありますが、手間がかかります。そのため、近年は、底引き網漁で捕獲することが多いようです。