自慢の薫る麦を手繰る。蕎麦前を楽しんだあと蕎麦をすする。麦にはいろんな味わい方がある。
夜は少し背筋を伸ばして気鋭の新店やごちそう感あふれる蕎麦などを。昼は肩肘張らずに味わいたい町蕎麦や立ち食い蕎麦などを徹底リサーチ。時間帯や使い方、さらには気分に合った自在で自由で粋な蕎麦活を始めてみませんか?
小川町『李蕎庵』
ひとりで過ごす蕎麦屋酒もいいけれど、ここには誰かを誘って来たい。というのも鴨焼きや出汁巻きといった定番以外にも、豊洲から毎朝届く鮮魚に酒のアテまでと、つまみは居酒屋くらい気の利いた品揃えで、あれこれ並べて賑やかにテーブルを囲みたくなる。
しかも有名どころから変化球まで日本酒のラインナップの層も厚い上、手頃な価格もうれしい限りだ。そして〆も優秀。
蕎麦粉は自家製粉ではなく挽きムラの少ない製粉所からの仕入れに徹し、細すぎず太すぎず、ちょうどいい塩梅の二八に打ち上げる。
なめらかな麺肌が酒で火照った舌をやさしく撫で、しなやかなコシの余韻を残しながらするりと胃袋まで落ちていく。そんな快感がクセになり、いつまでもすすっていたくなる。