女将やマダムのいる店は、何かが違う。「女将」ってなんだろう?その姿に迫る『おとなの週末』連載「女将のいる場所」を、Webでもお届けします。今回は、2022年に東京・銀座で開業したスタンディング・ワインバー『パ・ロワン』の高山南美(みなみ)さんです。
生まれ育ちは静岡の港町、人と関わる場所をつくるため料理人に
特段、紅(あか)い色が好きというわけではないのに、お土産などで不思議と紅が集まってくる。1994年、高山南美さんは静岡の港町に生まれ、父は桜エビの漁師だった。後にアジア食堂を始めた両親は旅と食と人が好き。店は、旅先で出会った多国籍な人々が集まる寄港地になった。
高校は地元の普通校を選んだが、小3から中学までは北海道のシュタイナースクール。理念は“喜びをもって世界と関わり、自分の個性を活かした役割を果たす”。
「他人(ひと)との違いがコンプレックスと捉えられがちな日本ですが、違うからおもしろい。その違いを、私は知りたい」
高山さんはよく、「関わる」という言葉を口にする。人と関わりたい。一度関わった人たちと、また関われる場所をつくりたい。そこにおいしい食事があれば最高だ。そう考えて日本とフランスの調理師学校で学び、料理人を志した。
優秀賞での卒業。厳しい怖いと噂の修業先でも、彼女に言わせれば「楽しい以外ない」。なぜなら自分が持たざる、偉大な先達の経験知を授かれるのだから。
「知らずにいるなんて、もったいないにもほどがある!」