田中一明氏による「ノールール」不定期連載『ラーメン官僚かずあっきぃの「感動の一杯」』第3回は、東京・赤坂の『Ramen翡翠』を緊急レポート。氏が大きな衝撃を受けたというラーメンは、果たしてどのようなものなのだろうか?
オープンしたばかりの新店『Ramen翡翠』は 「ドルミ赤坂」の2階にあり
本年(2025年)より『おとなの週末』のWebにて掲載させていただいている、今、絶対に食べるべきラーメン店の紹介企画。前回(第2回)は、東京都目黒区の人気店『Dad’sRamen夢にでてきた中華そば』を採り上げた。
第3回目は、2025年2月8日にオープンしたばかりの新店『Ramen翡翠』にご登場いただくこととしたい。どうして『翡翠』を採り上げることにしたのか。理由は至極単純。同店が折り紙付きの優良店であることは所与の前提として、「知っておくと、物凄く皆さまのお役に立ちそうな1軒」だと確信しているからだ。
ということで、早速本題に入りたい。まずは、お店の場所から。
店舗の場所は、東京メトロ千代田線・赤坂駅の店から最も近い出口から約150m(徒歩約2分)。次に近い東京メトロ銀座線・赤坂見附駅の出口からでも、300mも歩けば、アクセスすることが可能だ(徒歩約4分)。赤坂そのものも、交通の便が悪いエリアでは決してないので、ロケーション的には上々の部類に属すると言えるだろう。
ただ、ここから先が、中々どうして一筋縄ではいかない。店の場所がかなり分かりづらいのだ。何の変哲もない飲み屋街の商業ビルの2階にひっそり佇んでいる上に、ビルの外から店舗が視認できないため、『翡翠』が入っているビルの名が『ドルミ赤坂』であることをあらかじめ把握しておかないと、下手をすれば、店の周りを彷徨い続けることになりかねない。
私は、このコラムを執筆している現時点で、同店を2度訪問しているが、最初の訪問時、店舗の場所を中々特定できず、10分以上も店の周りを彷徨うという失態を犯してしまった次第である。
結論から申し上げれば、『ドルミ赤坂』の1階に店舗を構え、道路に面している『横浜家系ラーメン一刀家』と、最近ビルの前に設置された『Ramen翡翠』の立て看板が、店舗の在処を示すランドマークとなってくれることだろう。
それでも、予備知識がなければ、このビルに『一刀家』以外のラーメン店が存在するとは思えないだろう。ラーメンの食べ歩きを重ねると、経験の蓄積によって、「あ、このあたりにラーメン店がありそうだ」という直感が何となく働くようになるが、そんな直感さえ機能しないほど、ラーメン店が存在する気配がしないのだ。
なので、辿り着くためには、「『Ramen翡翠』は『ドルミ赤坂』に店舗を構えている」という情報を信じて、ビルの階段を上がっていただくしかない。2階へと足を運ぶと、重厚な扉の前に『Ramen翡翠』の在処を示す立て看板が設置されているはずだ。
時間帯によっては、店の前に行列ができているので、特定が若干楽になると思う。そこまでアクセスできれば、あとは、入店しラーメンを食べるだけだ。
店主の渡邉亮氏は 『RamenBreakBeats』およびその系列店を経て独立
と、ここまで一気呵成に書き上げて、店主である渡邉亮氏のプロフィールに触れていないことに気が付いた。渡邉氏が『翡翠』を開業するまでに歩んだ経歴については、インターネット検索を掛けていただければ、多くの情報を得ることができる。
店主は、祐天寺の実力店『RamenBreakBeats』及びその系列店における勤務(正確には、本業の合間でのお手伝い)を経て、独立開業。『BreakBeats』に勤務する以前は、様々な業態の飲食店で計20年以上ものキャリアを積み重ねてきた、料理人経験が豊富な方だという話は、ラーメンマニアであればご存知の方も少なくないだろう。
なので、このコラムでは他では触れられていない情報を中心に言及する。驚くべきことに、『翡翠』のラーメンは、店舗の引き渡し日からわずか1週間で完成させたのだという。
「私は、確かに、ラーメン職人としての経験は深くありません。ですが、料理にはずっと携わってきましたので、料理人としての自分を信じて創り上げました。オープン予定日は前々から決めていましたので、それに絶対に間に合わせるように」というのだから、感服するほかない。
「オープンの1週間前から、初めて自分のラーメンを作り始めました。製麺からカエシ・スープづくりまで、全てがそこからのスタートです。そんな状況でしたので、もちろん不安もありました。『BreakBeats』の柳瀬店主から教えていただいた、ラーメンと向き合う姿勢やマインドを胸に刻みながら、気合いで乗り切りました」。
柳瀬店主からは、他にも、ラーメンづくりに必要なセンスや技術、ラーメン職人の働き方など、多くのことを教わったという。
「『BreakBeats』の2号店、3号店の立ち上げにも携わらせていただきました。正社員でもないのに、台湾のイベントに連れて行ってもらったり。柳瀬店主には、言葉では言い尽くせないほど感謝しています」。
私見になるが、渡邉氏が、柳瀬店主から多くの「財産」を受け取ることができたのは、同氏の人柄が並外れて良いからではないかと思う。
初回訪問時、『翡翠』の場所が分からず、店の周りを彷徨っていた私に声を掛けていただき、親切に、店舗の場所とお客さんが店に並び始める凡その時間まで教えてくれたのは、何を隠そう、買い出しのために店の外に出ていた渡邉店主だったのだ。