暑中お見舞い申し上げます。千葉シリーズ最終回は「海沿いの名店」を取り上げます。ご案内の通り、千葉県は銚子沖、九十九里浜、外房、内房、と県のほとんどが海に面しています。海を見ながら、もしくは海風や海の香りを感じながら食べる食事やビールってなんであんなに美味しいんですかね。日本は海に囲まれていますので、海沿いの飲食店には事欠きませんが、各エリアで個性ある地元グルメを味わえる、という意味では千葉は日本有数のエリアではないでしょうか。しかも東京から近い。
『とん亭九十九』で味わう至福の「うな重」
では九十九里海岸をスタートに、時計回りで名店の数々をご紹介したいと思います。
最初のお店は、千葉県東部の横芝光町(よこしばひかりまち)にある『とん亭九十九(つくも)』です。JR総武本線の横芝駅から車で10分ほど。九十九里浜のほぼ中央に位置する屋形海岸(やがたかいがん)にほど近い場所にお店を構えています。
お昼時は50台分ほどある大きな駐車場がすぐ埋まる、地元では人気のお店です。店名の通り、「ロースかつ」や「ポークソテー」など豚肉料理が看板ですが、「アジフライ」や「なめろう(鯵の味噌たたき)」など千葉の海産物もズラリ。
加えて、「うな重」が美味しいことでも有名です。九十九里海岸でうなぎが名物とは不思議な印象です。何でも当店の近くで稚魚しらすうなぎを養殖しているそうです。それを愛知や鹿児島の鰻生産地に出荷しまた戻す、そんな循環社会が目指しているんだとか。
鰻好きの筆者は豚料理には目もくれず、「うな重」を注文しました。味は濃く、東京のうな重が繊細な味つけとすれば、当店のうな重はいい意味で大味な味わいで、稚魚生産地の矜持を感じました。