今、焼酎が熱い。特に香り系など個性的な味わいの揃う芋焼酎が、居酒屋で家庭でと広く楽しまれている。なぜおいしくなったのか?なぜ個性的な味わいが生まれるのか?その理由を探るべく、鹿児島県いちき串木野市の『薩摩金山蔵』を訪れた。いちき串木野市だけで7つの焼酎メーカーがある。中でも3つの蔵を持ち、それぞれ異なる味わいの焼酎を作っているのが濱田酒造だ。金山の坑内を利用し、貯蔵、熟成させたその名も『金山蔵』の旨さの秘密を教えてもらった。
見学ツアーもある金山跡地の稀有な蔵『薩摩金山蔵』@いちき串木野市
レトロなトロッコ列車が岩肌迫る洞窟をゆっくりと進んでいく。梅雨の晴れ間、外の蒸し暑さが嘘のように空気がひんやりと冷たい。およそ700m先、辿り着いたのはかつて薩摩藩の財政を支えた金山の坑洞内。
いやあ、こんな神秘的な空間で焼酎の仕込み・貯蔵・熟成が行われているとは……そう、ここは金を採掘していた坑洞内を活用した全国でも珍しい焼酎蔵「薩摩金山蔵」。明治元年創業の濵田酒造が持つ蔵のひとつで、薩摩の歴史と焼酎文化を語り継ぐ場として“継承”をテーマに独自の焼酎造りに取り組んでいる。代表銘柄が芋焼酎「薩摩焼酎金山蔵」だ。
珍しいのは黒麹菌が白麹菌へ自然変異する過程で明治44年に発見・分離された黄金麹で仕込むことだろう。繊細な品質のためお蔵入りになっていたものを復活させたという、世界でもここでしか使われていないまさに幻の麹。
「その名の通り黄金色で白麹や黒麹とはまた違う清涼感のある香りが特徴。黄金麹という名も金山蔵にマッチしているでしょう?」。
杜氏の東條健太さんが目を細める。その貴重な麹で仕込んだ焼酎を長期貯蔵熟成させるのだが、気になるのは坑洞内の稀有な環境がどのように影響するかということだ。
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