舞台芸術を裏から支える「裏方さん」を顕彰する第31回「ニッセイ・バックステージ賞」(主催・公益財団法人ニッセイ文化振興財団)の贈賞式が2025年11月18日、東京・有楽町の日生劇場で開催されました。永年の功績をたたえる同賞に、衣裳着付けで多くの作品に関わってきた中村洋一さん(75)と舞台美術背景製作を担う松本邦彦さん(66)の2人が選ばれました。贈賞式では2人が登壇。栄誉に対して喜びを語りました。賞金は200万円に加え、年金(年額50万円、10年確定年金)が授与されます。
現場主義を徹底し、磨いた技
永年にわたり舞台を支えてきた中村さんは1950(昭和25)年、東京都生まれ。1970(昭和45)年に東京衣裳に入社し、劇団テアトル・エコーの『表裏源内蛙合戦』から衣裳着付けの現場に入り、その後文学座を中心に活躍してきました。1974年の『天守物語・十三夜』の公演がきっかけとなり、大女優・杉村春子の着付けを専属でうけもったことでも知られています。物語のキャラクターだけではなく、ライティングなども意識した着付けで、多くの作品に貢献。現場主義に徹して磨いた技術・技法、時代考証を踏まえた着付けが高く評価されました。2021年にフリーとなり、現在に至るまでは、後進指導にも尽力しています。
55年もの長い間、衣裳着付けの世界で活躍し、後継者の育成にもあたる中村さんは、今回の受賞について、「(やりがいは)お客さまの拍手。やるには反応のいいお芝居につきたいですね。役者が衣裳を着てくれず時間がない中、着付けをしなければならないという大変なこともあった。賞をいただくのが、自分で良いのかなという思いが強い。ただ、身体がつづくかぎりは、後進につながるように活動していきたい」と謙虚な姿勢と今後への意欲を見せました。











