名跡とされるスポットも多い両国は、まじめに歩けば歴史の面影にどっぷり、でもユルく歩けば風呂も角打ちも演芸場も!かなりコンパクトなエリアにネタ満載。散策、おすすめです。
街中で相撲推し。でも“じゃない方”の魅力もあるんです
JR総武線で両国駅ホームに降り立つと、北側に神社を思わせる緑青の銅板葺き屋根がどーんと見える。相撲の殿堂『両国国技館』だ。
両国に来たら、まずお参りしときましょ、土地の神様にご挨拶するがごとく国技館へ。
おっと駅の表示の“両国”が相撲文字じゃないの。シャレが分かるねえ、JRさん。改札内の床が土俵になっていたり、とにかく相撲推し。テンション上がるス。
大相撲東京場所の開催期間以外は、入場券なしで国技館に併設された『相撲博物館』に入館OK。江戸時代に活躍した横綱の化粧廻しなどの貴重な品を無料で見られて、なんか得した気分だ。
隣の売店にも寄ってみた。グッズが全部、とことん相撲関連。力士、力士、力士、たまに行司。哀愁漂う正代の絵葉書を思わず購入! 誰に出すんだよっ。ちなみに、両国では街中で相撲グッズを買えるゾ。
お次は、『江戸東京博物館』の東側アプローチを通過。写楽の「目」をイメージしたというモニュメント、目立つなぁ〜。
駅南側をぶらついてみたら、『SUMO LAND』ってのがある。外国人がちゃんこをつつきながら楽しそう。なるほど相撲のショーを見ながら食事できるのか。いいね、こういうのも。
『回向院(えこういん)』は明暦の大火の焼死者10万8000人を葬った万人塚を起源にする寺院だ。明治の終わりまで相撲の興行が行われた場所でもある。本堂、そして、歴代の相撲年寄の慰霊碑である力塚、鼠小僧の墓で手を合わせる(江戸博では先輩のご苦労が身に沁みました)。運がよければ、境内の看板猫・梅吉にも癒されますよ。
両国は歴史の香る街だ。吉良邸は、歌舞伎や映画で有名な「忠臣蔵」で討ち入りされた、あのお宅。「吉良の首洗いの井戸」もあるから、霊感強めの人はちょっと涼めるかも。
そこかしこに立つ歴史の案内板も興味深い。芥川龍之介もこの辺りで生まれ育ったそうだ。母校の両国小学校には文学碑もある。
両国公園には、勝海舟生誕地とされる一角があり、愛用のイスのオブジェが。横には立派な「ラジオ体操広場」の案内もあってなんかシュール。
確か両国は葛飾北斎の生誕地でもある。文豪、偉大な為政者、世界的な絵師……実に多士済々だ。和菓子店『大川屋四丁目店』の「鬼平だんご」をいただきながら、往時の両国に想いを馳せる。この辺りから菊川方面は、『鬼平犯科帳』でお馴染みの長谷川平蔵が活躍したエリアでもある。青海苔&黒ごまの団子がしみじみ旨い。
汗をかいた。温浴施設『両国江戸遊』でリフレッシュしよう。1時間ならタオル付き1500円とお手頃だ。北斎の名作「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」のモザイク壁画の前で湯船に浸かる。水風呂もびしっと冷たくて、整った。
さすれば、一杯やるしかない。『大橋屋酒店』では夕方から角打ちできる。瓶ビールをゴキュッとやったら菊正宗。夏は燗酒で涼をとるのが吉だ。テレビの相撲中継が終わる頃に、ほろ酔い。
さて、寄席『お江戸両国亭』でものぞいてみるか。って、まだ遊ぶ気かよ!
イラスト/なかむらるみ、取材/渡辺 高
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