編集・武内に、新店担当のライター菜々山、匠の味担当の肥田木、島根とうなぎ飲み担当の池田、同じくうなぎ飲み担当の輔老。総勢5人による覆面調査と取材から見えた、2026年のうなぎ事情をお届けします。
街場のうなぎ店はお値打ち価格で奮闘中
肥「稚魚の豊漁で2026年のうなぎは注目されているよね。近くのスーパーでも”豊漁につきお買い得!”と大々的にセールをやってたよ。調べたら大手スーパーでは蒲焼きが昨年より500円ほど安くなってるらしい」
池「毎年、このニュースが流れる頃になるとヒヤヒヤするもんな。今年もまた値段が上がっちゃうんじゃないかと思ってさ」
武「お店での価格も、2026年は値上げしていない印象です」
菜「じゃあ、まずはそんなうなぎの最前線を知れる、2025年から2026年にかけてオープンした新店部門からいっちゃう?」
武「そもそも新しい店が出店しづらいジャンルですよね。職人さんも減っているだろうし」
菜「それな!でもあえて職人を置かないことで、値段を抑えていたのが『萬助』。割きは毎朝問屋で、焼きは焼成機で地焼き。もちろん、味だって申し分なし!2026年のテーマのひとつがこの地焼きなんだよね」
『うなぎの萬助』うなせいろ特上3850円
池「新店じゃ東京でも地焼きが増えてきているとか?」
菜「そうそう。大阪から進出した『寝床』は、当然として、和食からうなぎ屋に転身した『とめまる』もそう。さらにうなぎ捕りの趣味が極まって、暖簾を出した『うなぎ仙人』は、関東風も出すけど、地焼きもあるハイブリッド。今月、関東風のふわふわを、ほとんど食べなかった。そんくらい地焼きがブーム」
肥「ひえ〜、今そんなことになっていたんだね!」
菜「驚きだよね(笑)」
肥「勢いのある新店も楽しいけど、やっぱ代々技を受け継いだ匠の味もぜひ食べてほしい!」
池「誌面の写真なんて、眺めているだけで、香ばしい匂いが漂ってきそうだもんな」
肥「でしょでしょ〜。私的に絶対外せない名店が『鰻はし本』。うな重はもう伝統工芸品のように美しく、何度も味わっているのに毎回まるで初めてかのようにハッとする。シブい昭和の風情だった旧店舗も良かったけど、’24年にリニューアルした新店舗もスタイリッシュで素敵。接待とかハレの日にも最高の食事になるよ」
『鰻 はし本』
菜「この店のうな重の均一な焼き目とテリとツヤ……。引き伸ばして、壁に飾りたくなるな(笑)」
肥「それにもうひとつ、『宇のじ』は町のうなぎ屋さんのお手本のような店。店主の誠実な人柄がうな重に表れていて、まさに”料理は人なり”。ブランドの『うなぎ坂東太郎』がお値打ちで、炭は今やなかなか手に入らない一級品の紀州備長炭とさりげなく最高の材料を使っている。こんな隠れた名店が名もなき商店街にひっそりと潜んでいるのが東京のうなぎ屋の面白いところだよね」
池「わりとどの町にも、地域に根ざしたうなぎ屋ってあるよな」
肥「そうなの。『鰻かねいち東上野』もその好例。気軽な店でありたいという思いから、国産の上質なうなぎを使ったうな重は3千円からあり、大きな1尾でも3700円。急逝した父の店と味を守るため姉妹でがんばっている姿にも惹かれたよ。町場のうなぎ屋は後継者不足と言われるけど、『鰻 すが原』や『鮒與』とか、息子さんが家業に入りがんばっていて、何だか親戚気分でうれしくなった。ところで、池田さんは島根に行ってたんだって?」
池「そそ。淡水と海水が混じり合う、汽水湖・宍道湖で獲れる天然物を目当てにね。でも、ここでもやっぱり漁獲量が減少してた。現地で漁協会員でもあるお店の人に聞いたんだけど、平成初期は24tだったのに対し、今じゃ3.5〜4tくらいだそう。それでも、東京で食すと1キロ1万円超えは当然だけど、ここだと7500〜8千円でいただけるのもありがたい」
肥「それでそれで?宍道湖の天然のお味はどうだったの!?」
池「しっかり弾力がある身質で、くどい脂じゃなく、力のある味というか、澱みなく旨しって感じかな。白焼きで食すと、さらに香りのよさも伝わってきたよ」
菜「実は島根ってそんなにうなぎのイメージないんだよね」
池「もちろん、鹿児島なんかの養殖も出しているよ。でも宍道湖の天然は地元で昔から食べられてきたという背景もあって、松江や出雲はうなぎ処で全体のレベルが高いんだよね。みりん代わりに池伝酒っていう調理酒を使ったりするんだけど、これがいい仕事してんのよ。あと島根は米も旨かったなあ。そうそう、話しは変わるけど、うなぎ飲みも担当したぞ」
輔「あ、僕もです」





