それぞれの世界で“ほんもの”を追い求めてきたふたりの匠が初めて手を組み、一杯のビールと一杯のラーメンをゼロからつくりあげるプロジェクト「YEBISU × 飯田商店 SPECIAL COLLABORATION 2026」。ヱビスブランド Chief Experience Brewerである有友亮太さんと、日本一予約が取れないラーメン店として知られる『飯田商店』の飯田将太店主による、これまでになかった異ジャンルのコラボレーションだ。
ふたりの匠の共創によって生まれたオリジナルヱビス 「太乙麦香(たいいつばくこう)」と特製まぜそばは、2026年11月19日(木)から3日間の特別イベントで、東京・恵比寿の『YEBISU BREWERY TOKYO』内にて提供される。
その二つの“一杯”をつなぐ重要な存在が、ビールづくりに欠かせない原料「ホップ」だ。ホップは品種によって、香りも個性も驚くほど違うという。その奥深さを知るため、ふたりはホップの収穫期を迎えた北海道を訪れた。
ふたりの“一杯”をつなぐ、ホップの正体とは?

写真中央:有友亮太さん/2012年サッポロビール株式会社に入社。北海道工場を経て、ベルリンの醸造研究教育機関へ留学。帰国後の2022年、36歳の若さで醸造責任者に抜擢され、ヱビスの新ライン開発などを手がける。
写真右:飯田将太さん/故佐野実氏による『支那そばや』の国産小麦の自家製麺に感動、スープより先に麺を試作した。2010年に『らぁ麺屋 飯田商店』を開業。素材本来の味わいを活かした、完全無化調のラーメンを磨き続ける。
今回のコラボレーションで有友さんと飯田店主が挑むのは、「ラーメンに合うビール」と「ビールに合うラーメン」の共創だ。そのキー食材となるのが、ビールづくりに欠かせない“ホップ”。
飯田店主はビールに合うラーメンとしてまぜそばをセレクト。ホップを煮出した「ホップ出汁」を打ち水として使い、麺に練り込むことにした。
日本におけるホップ栽培の歴史は、今からおよそ150年前にさかのぼる。1871年に、現在の北海道で野生ホップが見出された。その後、サッポロビールの前身である「開拓使麦酒醸造所」が開業、続いてホップ栽培も札幌で始まった。以来、中断をはさみながらサッポロビールは北海道でホップを栽培し続けている。
現在、原料開発研究所でホップの育種・研究に携わっているのが鯉江さんだ。食材の生産者を重視する有友さんと飯田店主は、ホップの収穫時期である8月のある日、北の大地に飛んだ。
鯉江さんの案内で、サッポロビールのホップ畑に到着したふたり。よく見ると、青々とした葉がついたツルに、ホップの球花がたくさん実っている。球花とは、ホップの雌株になる実のこと。ホップの品種はフラノマジカルだけでなく、フラノベータ、マグナム、ザーツなど、多種多様なホップがツルを伸ばし、グリーンカーテンのように生い茂っている。
鯉江:最近は、世界的にホップの品種がかなり増えてきました。特に注目されているのが、フルーツなど特長的な香りを持つ「フレーバーホップ」。ホップの世界も時代とともに変化しており、単純に苦味をつけるだけではなく、香りそのものを楽しむ品種が次々と登場しているんです。

有友:ホップはビールに苦味や香りをつけ、ビールの品質を保つという大切な役割を担っています。ホップの球花をかじると、かなり苦いんですよ。これは球花の根元、めしべの基部に詰まっている「ルプリン」と呼ばれる黄色い粒によるもの。このルプリンこそが、ビールづくりに欠かせない要素をもたらしています。
飯田:たしかに苦いですが、どれも本当にいい香りがしますね。青々とした、フレッシュで生命力を感じる香り。しかも、品種ごとに香りがまったく違う!
鯉江:フラノマジカルは特徴的な成分を持ち、非常に強い香りがあります。草のような独特の香りを持つ一方で、フルーティーな印象もあるでしょう。非常に香りが強いため、少量でもビール全体の香りを変えるパワーがあるんですよ。
有友:ビールを構成する原料や品種を知ることで、ビールの楽しみ方そのものが変わると思います。特にホップは、品種によって香りが大きく異なる。また、複数のホップを組み合わせるとビールの香りが変化するんです。
飯田:ビールもワインのように、使っているホップの品種で選ぶ時代になるかもしれませんね。シャルドネやピノ・ノワールのように、「このホップを使っているビールが好き」 「このホップの香りが好きだから」なんて選び方ができるようになるといい。ホップの種類がビール選びの基準になると、ビールの世界がさらに面白くなるなあ! それにホップは、食材としてもすごく可能性を感じるんですよ。
有友:飯田さんの、ホップを使った試作まぜそばを食べてからヱビスを飲んだら、ビールの輪郭がよりはっきり感じられました。ホップは食材としても、ビールの可能性を広げてくれるかもしれませんね。
text:萩原はるな



