じゃがいもは庶民の味方、ではありますが、高級店の料理でも活躍出来る、スゴイ食材なんです!そんなスペシャルな味を体験しに、本誌ライターが東京都内のお店を直撃。
画像ギャラリーこんなんありか!
美しくも旨しじゃがいも三重奏
素朴にして身近な食材・じゃがいもだが、それが日、仏、伊、それぞれの料理の巨匠、マエストロの手にかかるといかなる料理として登場するか? というのが本企画。これはもう、直撃前からドキドキである。
まずは銀座『てんぷら近藤』へ。
えっ! と驚く未知なるコンビネーション 「じゃがいもの天ぷら」
供された「じゃがいもの天ぷら」、一瞥して洋菓子のようにさえ見えるその美しさに、まずはいきなり驚愕。
「切って揚げるだけではポテトフライがあるし、面白くない」(近藤さん)として、間に“サンド”されているのはご飯だ。「ご飯とじゃがいもはどちらもでんぷん質だから、違和感がない」という言葉通り、薄い衣に包まれ均一にじわっと火の通った天ぷらは、旨さが浸透し合ってしっとりと一体化。さらに熱々のご飯の部分に少しだけ醤油を垂らして食せば、これはもう! ふわっと優しい食感に焼きおにぎりのような美味しさも加わり、未知なる陶酔感だ。
フレンチの巨匠、牛込神楽坂『ル・マンジュ・トゥー』谷シェフの手により繰り出されたのは、フランス・オーベルニュ地方の名物料理「アリゴ」。
ピュアにして至福のコクとなめらかさ 「アリゴ」
じゃがいものピュレに、トム・フレッシュという同地方のいわばモッツァレラのようなチーズを加えて練り合わせたもの。粘りが強いフランスのじゃがいも品種ラットを使い、「仕上がったときに、糸を引くように伸びないとだめ」なのだとか。究極のシンプルにしてその仕上がりは、おぉ、美しい! 口に運べば、コクがあり爽やかな酸味もあり、それらが一つとなって温かくなんとも言えない至福のなめらかさなのである。
ジビエ料理を得意とする門前仲町『パッソ ア パッソ』有馬シェフのスペシャリテは、なんと「ツキノワグマのラザニア」
北あかりが受け止める艶やかな旨み「ツキノワグマのラザニア」
伸ばしたパスタの間にミルフィーユ状に包まれたツキノワグマのラグー。その中に北あかりが混在する。ポイントは、ツキノワグマならではの香りと脂、そのスープの旨みを、じゃがいもが吸って一つになっていることだ。「北あかりはほっくり味を吸ってくれる。じゃがいも感もポイント」(有馬さん)。なんとも口中でじゅわりと広がる艶々と野性味のある旨み。じゃがいも懐深し。もうフォークが止まらない!
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