本格とか、インド原理主義とかではなく、日本で歴史を刻んだ〈カレーライス〉は、もはや私達の国民食であり、かけがえのない宝物。これぞ名作と言わしめる、そんな至宝のカレーたちを徹底解剖します!
画像ギャラリーはじめに
万人に愛されるカレーライス。東京都内でもかなりの数のお店があります。お店だけではなくカシミールカレーやドライカレー、キーマカレー、ビーフカレーなど、たくさんのメニューもありより取り見取り。百花繚乱の都内カレー店の中でも、とくにたくさんのファンに支持さる人気店をまとめています。お店選びの参考にしてください。
茅場町 「新川 デリー」の「カシミールカレー」
[ルウと相性がいい大粒ご飯]
ご飯は粒の大きい国産米を選ぶ。やや固めに炊き上げることで、ルウが染みた時により美味しくなる。
[ブイヨンで丁寧に調理したチキン]
具のチキンはダシとなるブイヨンで煮てから、最後にルウと合わせるので柔らかくてジューシー。
[サラサラでスパイシーなルウ]
粉末の唐辛子は入れ過ぎるとトロミが出やすいのでオリジナルのレシピより少し減らし、よりサラリとした質感を追及した。
[美味しさの秘訣]
味に複雑さとコクを出す炒め玉ネギは2種類(上記写真)。カシミール用は4時間かけて炒め、生姜を加えてまた炒める。とろみを出さないために玉ネギの繊維を切るようにスライスするのもポイントだ。コルマ用は切り方や炒める時間も異なる。
お店から一言:「最初に全部をかけるとご飯にルウが染みておいしいですよ」
店長 浅野秀夫さん
新川 デリー
2種類の玉ねぎを4時間かけて煮込んだカシミールカレーがお店の看板メニュー。粒の大きな国産米を使用しやや固めに炊きあげ、ルウがなじみやすいように工夫されています。ブイヨンでじっくり煮たチキンを具材をして使い、柔らかい食感で旨味も凝縮。サラサラとしたルウがお米によく絡みスパイシーな香りが食欲をそそります。
中野 「café HAITI 中野」の「ドライカレー」
[福神漬けがアクセント]
優しい味の福神漬けの甘さがカレーやご飯と相性抜群。合いの手に時々カレーに混ぜて食べるとより美味しい。
[水を使わないルウ]
水を一切使わず、素材の持つ水分だけで調理する。つまり火加減が難しく時間はかかるが、その分素材の旨みを引き出す。
[牛豚の合挽き肉]
キーマカレーに多い鶏肉ではなく、牛豚の合挽きを使用。スパイスに負けないしっかしりした肉の味が出る。
[美味しさの秘訣]
みじん切りの炒め玉ネギがたっぷり入るので優しく自然な甘さが出る。じっくりと時間をかけて水分を飛ばした玉ネギは甘みがギュっと凝縮。香味野菜もそれぞれ水分が飛び切るまで火を入れ、最後に合わせている。
café HAITI 中野
ハイチ人の教えてもらったというドライカレーがお店の名物。水を加えずに素材から出る水分だけで調理するため、素材の旨味がギュッと濃縮されています。福神漬けの優しい甘さが、スパイシーなカレーにマッチ。時間をかけてじっくり煮込んだ味わいは絶品。店内インテリアも個性的で、カレーだけではなく非日常感も味わえます。
神保町 「共栄堂」の「スマトラカレー」
[焙煎されたスパイス]
あと口に残るなんとも言えないビターさは、スパイスを煎ることから。浅くてもいけない、やり過ぎてもいけない。このせめぎ合いが生命線。
[メニューごとに違うブイヨン]
ブイヨンはカレーの種類によって全部違う。ポークはチキンと野菜がベース。
[サラサラのルウ]
小麦粉は一切使わないサラッとしたカレー。少しのとろみは野菜から出ている。
[美味しさの秘訣]
スパイスの配合は昔から変わらず20数種類。油脂で焙煎し、香りを引き立てたスパイスは、ボウルに入れて1週間以上寝かされる。たまにヘラでまんべんなくかき混ぜながらなじませる。
お店から一言:「最初に甘み、次に辛さ、ビターさが来るのが特徴です」
店主 宮川泰久さん
共栄堂
小麦粉を一切使わない製法でさらっとしたルウが特徴。20数種類のスパイスを油で焙煎し、1週間も寝かせて風味をアップさせる手間のかかったカレーです。カレーの肝ともいえるブイヨンは、カレーの種類によって変える手間の入れよう。スパイシーでありながらほのかな甘みのある独特の味わいは一度食べると癖になります。
神保町 「キッチン 南海」の「クリームコロッケカレー」
[直火で熱々]
どこよりも熱々で出すために、営業中ルウは常に直火にかけられている。焦げないように頻繁にかき混ぜている。
[ブラック]
深い黒みを帯びた色合いは、玉ネギを丹念に焙煎することによって生まれる。
[ヒゲがたった衣]
注文が入ってから揚げるコロッケの衣は、バター入りの粗めの生パン粉を使用。まろやかでヒゲが立って、サクサク!
[美味しさの秘訣]
サラサラのルウには小麦粉をはじめ、余計な糖分は一切入っていない。パワフルではあるが胃にもたれず、「毎日食べられるカレー」を目指すゆえだ。スタッフもまかないで毎日食す。
お店から一言:「僕も30年以上開店前に食べています」
料理長 中條知章さん
キッチン 南海
黒味を帯びた独特の色合いのルーが特徴。この色合いは玉ねぎをじっくり焙煎することで生まれます。人気メニューはクリームコロッケカレーで、注文を受けた後から揚げるためコロッケは熱々。ルーもつねに直火にかけられているため、辛さと熱さのW効果で汗をかくのは必至。刺激的で個性的なカレーライスが食べたい方におすすめ。
三宿 「ビストロ 喜楽亭」の「ビーフかれー」
[トッピング]
オニオンフライで食感と苦み、レーズンで甘みを、そしてアーモンドの風味がカレーの香りをさらに引き出す。
[ブイヨン]
が命牛骨と香味野菜でじっくり3日間かけて煮込まれる。
[小麦粉少なめ]
毎日食べても飽きないサラッとした食感は、欧風カレーだけど小麦粉少なめ。
[美味しさの秘訣]
ブイヨンに使われるのは、牛骨と、玉ネギ、ニンジン、セロリ、トマト、ネギなどの香味野菜。継ぎ足し継ぎ足し、毎日10時間以上、3日間煮込まれる。溶け込んだエキスが旨みになる。
ビストロ 喜楽亭
まさに欧風カレーの王道を行くお店。香味野菜と牛骨をじっくり3日間煮込んだブイヨン、さらにカレーごとに違うスパイスを加えてさらに6時間煮込む手間の入れよう。スパイシーでありながら、香味野菜や牛骨の旨味がたまらないビーフカレーに。トッピングのアーモンドやレーズンが甘味や食感のアクセントを作り出しています。
おわりに
ライター&編集部が、東京都内を東奔西走し、食べ歩いて見つけたカレーライスの名店をご紹介しました。定番のビーフカレー、ドライカレーから、カシミールカレー、スマトラカレーなど普段あまり見慣れないカレーまで、カレー好きにはどれもたまらない逸品ばかりです。是非一度お店に足を運んでみてはいかがでしょうか。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
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