人形町『玉ひで』の次男が考案! 名古屋でしか食べられない新タイプの親子丼
東京・人形町にある親子丼発祥の店『玉ひで』。
お昼時は、親子丼を求める客が長蛇の列をつくることも有名だ。
そんな『玉ひで』の味、しかも、どこにもない新たな親子丼が名古屋で楽しめるのをご存じだろうか?
名古屋駅構内の飲食店街「名古屋うまいもん通り」にある『てつえもん』がそれ。
『玉ひで』8代目当主、山田耕之亮氏が監修した店で、名古屋コーチンを使った焼鳥や親子丼が看板メニューだ。
こちらは、名古屋コーチンのもも肉が入った山田氏直伝の「名古屋コーチン鶏だし親子丼」(1380円)。
山田氏は名古屋とその周辺で暮らす人々の味覚を研究し、割り下に使う醤油は知多半島産のものを使用している。
そのため、どこか懐かしい味わいがするのだ。
特筆すべきは、玉子のとろみ加減。
コーチンの肉とご飯とを一体化させる「つなぎ」の役割を完璧に果たしている。
「『玉ひで』の味をそのまま持ってくるのは簡単なことですが、地元の方に親しめる味出なければならないと思い、ゼロベースで作り上げました。
強火を使って短時間で仕上げますから、卵の状態は秒単位で変わってしまいます。
余熱も考慮したタイミングが重要なんです。
ですから、私が認めた者しか親子丼の調理はできません」と、山田氏。
冒頭で触れた、どこにもない親子丼とは、2018年2月末に販売を開始した「名古屋コーチン昆布だし親子丼」(1380円)のことである。
このメニューは、山田氏の次男、ヤスオ氏が考案した。
彼は京都の老舗料亭『京大和』で働いた後、カナダに渡って2年間修業した。
海外で生活をするなかで、外国人に親子丼を食べてもらいたいという思いが募っていったという。
「ところが、残念なことに海外では半熟の卵を食べる習慣がないんです。
ですから、親子丼そのものも存在しません。
それなら、外国人でも食べられる親子丼を作ろうと。
とはいえ、伝統を守り続ける『玉ひで』で出すのは難しいので、ここ『てつえもん』で販売する許可を父からいただきました」と、ヤスオ氏(写真右。左は山田耕之亮氏)。
ご覧の通り、「名古屋コーチン昆布だし親子丼」は、従来の親子丼とはビジュアルからしてまったく違う。
五穀米を使用したご飯にのっているのは、名古屋コーチンのむね肉ともも肉、フワフワの卵、レタスなど。
コーチンの肉は、昆布だしで火を通してあり、しっかりとした旨みをさらに引き出している。
また、フワフワの卵は、とろみを付けた昆布だしに卵を流し込んだ、いわゆる卵とじ。
鶏と昆布の旨みをたっぷりと吸っていて、口に入れるたびにそれらがジュワッと広がる。
従来の親子丼にはない新感覚の味わいだ。
あまりの旨さに、丼をワシ掴みにしてイッキに掻き込んでしまいたいところだが、半分ほど食べたところで一旦ストップ。
丼と一緒に出されるゴマやワサビなどの薬味をのせて、鶏スープをかけてお茶漬け風にすると、また違った味わいが楽しめるのだ。
「名古屋コーチン昆布だし親子丼」が親子丼の新機軸となるかもしれない。
てつえもん
[住所]愛知県名古屋市中村区名駅1-1-4
JR名古屋駅名古屋うまいもん通り
[TEL]052-589-1255
[営業時間]11時~23時
[定休日]無休
永谷正樹(ながや・まさき)
1969年生まれのアラフィフライター兼カメラマン。名古屋めしをこよなく愛し、『おとなの週末』をはじめとする全国誌に発信。名古屋めしの専門家としてテレビ出演や講演会もこなす。
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