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福岡・小倉発 100年級の発酵系サバ缶『百年床のぬか炊き缶』

昨年から、続々と登場している「進化系サバ缶」。
なんと、福岡県北九州市小倉から「発酵系サバ缶」がデビュー!
しかも、「100年級のサバ缶」。
タイムカプセルのような、絶品サバ缶をご紹介!
北九州市・小倉の郷土料理といえば「サバのぬか炊き」。
サバをしょうゆ、みりんなどの調味料で煮込み、ぬか床を加えた料理だ。
もともと小倉は、小倉藩主・小笠原忠政公がぬか漬け好きだったことから、ぬか漬け作りが盛ん。
そこから生まれた料理といわれている。

サバのぬか炊き。
イワシでも作られる。小笠原忠政公が、前任の信濃国から、ぬか床を持ち込んだため、
ぬか漬けやぬか炊きが小倉で浸透したとされている。

北九州市民の台所「旦過(たんが)市場」。
昭和レトロな長屋式の商店街には、野菜、魚、肉、そして手づくりの温かみあふれるお惣菜を販売するお店が並び、なんだか「アジア感」いっぱい。

旦過(たんが)市場。
大正時代初期、隣接する神獄川を昇る船の
荷揚げ場として栄えたことから始まり、
薬100年の歴史を誇る。
昭和30年代の木造建築も多く残り、
懐かしい佇まいの商店が100軒近く並ぶ。
角打ちもアリ。

そんな商店街には、小倉っ子が愛する、サバのぬか炊きを販売するお店が軒を連ねている。
「宇佐美商店」もそのひとつ。
親子三代にわたって受け継がれ、100年もの歴史を刻んだぬか床を使用した、サバのぬか炊きが人気のお店。
三代目の宇佐美雄介さんが日々、ていねいに炊き上げる。
まず、厳選した脂のりバツグンのサバを、しょうゆ、みりんなどの調味料で2時間じっくり煮込む。
そして最後の味付けに、ぬか床を加えてさらに煮込んで仕上げる。

サバのぬか炊きを作る宇佐美雄介さん。
代々、受け継がれた伝統の技で作り上げる。

ジェンヌは一昨年、著書『サバが好き!』(山と渓谷社)の取材でお訪ねして、初めてぬか炊きをいただいた。
初ぬか炊きの感想。
「こ、これは味噌煮超え!!!!!」
こってりしているのに、後味がほのかな酸味でさわやか!

宇佐美商店のサバのぬか炊き。
濃く、複雑な旨みのあとに、マイルドな酸味。うまい!

ふだん、そんなに米を食べないジェンヌに「無限の白めし」降臨!
米、エンドレス(涙)!

白めしに、サバのぬか炊きをのせれば「サバの無限丼」が完成(涙)。
旦過市場内にある北九州私立大学が運営する「大學堂」では、「大學丼」として丼ご飯を販売。
市場内の各店舗で好きなお惣菜をのせて「丼」にできるというなんともうれしいサービス。

これも100年以上、1日たりとも欠かさず手入れされ、キュウリ、キャベツ、コンニャク(!)、棹前昆布などが漬け込まれた食材が、風味を醸し出す「ぬか床」あってこその味わい。
なんてったって「100年級のサバグルメ」。
もはや「食べるサバ遺産」である。
その味わいを封じ込めた缶詰が、2019年11月にデビューした。
「百年床のぬか炊き缶」。
宇佐美さんが「小倉のお土産になるものを」と開発した商品だ。
宇佐美さんはもともと、東京のIT会社で働いていた。
あと継ぎとして小倉へ戻ってきた宇佐美さんは、地元で愛されてやまない、ぬか炊きがまだまだ全国区ではない、と感じていた。
もっと多くの人に「小倉が誇るぬか炊き」を「博多の明太子」のように知ってもらいたい。
「そのためにはお土産として、冷蔵ではなく常温で持ち運べる商品が必要だと思いました。
そこで、『ギフトになる缶詰』の開発に取り組むことにしたんです」と宇佐美さん。
2018年秋、缶詰開発がスタート。
しかし、ことはそう簡単ではなかった。
「缶詰にぬか炊きをつめればできあがると思っていました。考えが甘かったです」と苦笑する宇佐美さん。
缶詰にしてみると水気が出て味の濃さが変わったり、店頭で販売している味をそのまま再現するのが難しく、試行錯誤の日々が続いた。
1年がかりでようやく「百年床のぬか炊き缶」完成。
ぬか炊きそのままの風味が楽しめる「本味」、唐辛子を利かせた「辛口」、梅肉を加えた「梅味」の三種類が発売となった。
パッケージは、地元のデザイナーに「カッコよくて『百年床』が伝わるもの」を、と依頼。
魂にすりこまれるほど、「百年床」の文字が散りばめられたスタイリッシュなデザインに。

「百年床のぬか炊き缶」。
左から「辛口」「本味」「梅味」。
唐辛子が利いた辛口はビールにぴったり。
梅味は、さっぱりとした上品な味わい。

そんな「100年級サバ缶」を実食!
缶を開けるとピシッとした切り身がお目見え。
かじってみると……。

調味料とぬかを、
こってりとまとったサバ。

おお、うまい!
旦過市場で味わった、あの感動がリフレイン!
「こってりさわやか」。
この間逆の二文字が、自然に並ぶ「発酵マジック」!
えらいぞ、ぬか床!
ごはんはもちろん、焼酎のおつまみにも最高の味わいだ。

複雑で豊かな旨みにうっとり。焼酎に合いすぎる(涙)!
ちなみにチーズと組み合わせると、赤ワインに合うよー。

ジェンヌ的にはまず、身をおつまみにして晩酌。
そして〆にごはんの上に身をのせ、サバの旨みと、100年のぬか床が融合した缶汁をたらりとかけていただく、がおすすめ。
この缶汁がとんでもなく美味しいのですよー!
これ、ソテーした肉の、ソースとして使うと絶品。
まさかの肉利用、ぜひお試しを!

さらに、ジェンヌのおすすめアレンジもご紹介!

もうひとつ、おすすめなのが「高菜」との組み合わせ。
じゃん。

「サバのぬか炊きと高菜丼」。
白めしスピード加速。

「サバのぬか炊きと高菜丼」。
福岡が誇る「2大発酵系ダブルのせ」!
うろたえるほど好相性(涙)。
この丼、お茶漬けにしてもめまいがするほど美味しい!

「サバのぬか炊きと高菜茶漬け」。
白すりごまと紅しょうがをプラスすると、さらに美味しい!
この組み合わせ、ラーメンにしてもイケますから!

宇佐美さんによれば、温めて食べたり、パスタや衣を付けて「フリット」など洋風にアレンジして食べるのもおすすめとのこと。
缶汁の風味をいかして、大根などの野菜と一緒に煮ても美味しい一品が仕上がるそう。
とにもかくにも「100年マジック」が醸した唯一無二のサバ缶、ぜひ味わってみて。

■宇佐美商店
https://100nenndoko.official.ec/

池田陽子(いけだ ようこ)
サバファンの集い「鯖ナイト」や、日本中のサバ好きが集まる「鯖サミット」などの活動を担う「全さば連(全日本さば連合会)」広報担当/サバジェンヌとして活躍。本業は薬膳アテンダント/食文化ジャーナリスト。著書に『ゆる薬膳。』(日本文芸社)、『缶詰deゆる薬膳。』(宝島社)、『春夏秋冬ゆる薬膳。』(扶桑社)、「ゆる薬膳。」はじめたらするっと5kgヤセました!(青春出版社)、『サバが好き!』(山と渓谷社)など。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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池田 陽子
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