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地価が高いため隙きあらば平らにされる東京ですが、たまに見かけるもっこりとふくらんだ土地。近づいてよく見てみると、実は古墳だったり富士塚だったりするのです。そんな街中のふくらみを訪ね歩き、その個性的な見た目を楽しむ〈もっこり散歩〉の達人が、いま密かにブームの「古墳」をご紹介します。

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王子・飛鳥山古墳

子どもたちの声が響き渡る、アットホームなもっこり

古墳は北海道と沖縄を除く日本全国に分布し、数は20万を超えると言われています。学説的にはその地域に住んでいた豪族などの実力者の墓とされていますが、実際に誰が葬られているのか分かっているのは、そのわずか1万分の1、約20基しかないそうです。

一番有名なのは世界遺産に登録された大阪の百舌鳥・古市古墳群の一つ「大山古墳」(別名・仁徳陵古墳)でしょうか。全長525m、墳丘の高さ39.8m、そして独特の前方後円の形状。大きさ、見た目、知名度、どれをとっても日本一の古墳と言っていいでしょう。その他、巨大な前方後円墳は大和朝廷があった近畿圏に集中しています。

一方で東京はどうでしょう? 「東京に古墳なんてあるの?」 という声も聞こえてきます。僕もそう思っていました。でも、あるんです。数も大きさも近畿や関東の古墳王国である群馬や埼玉には及びませんが、あるんです、東京にも。住宅街やビルの谷間にひっそりと、もっこりしてるのです。

この「飛鳥山古墳」は、東京都北区・飛鳥山公園の雑木林の中にあります。休日ともなれば大勢の子どもたちでにぎわう遊具エリアの奥。そこだけ別世界のような静けさです。

たまたま、娘ふたりがてくてくと雑木林に歩いていったのを追いかけていったら、そこに小さなふくらみがありました。

ただの小山にしてはちゃんと階段が設えられているし、何やら案内板も立っています。それを見ると、こう書かれていました。

〈飛鳥山1号墳〜古墳時代後期の直径31mの円墳。平成元年の調査で周囲には幅3.8mの周溝が廻ることが確認された。(中略)公園内では他にも古墳の周溝が確認されており、古墳群が形成されていたようである。〉

ほほう。古墳とな。直径31mはかなり大きいですよ。だけど高さは2mもありません。山ならかなり裾野の広い低山です。ですが登ってみると(登れるんです)、裾野が広い分、頂上までの距離は長く、けっこう登り甲斐があります

頂上からの見た目もなかなか。雑木林越しに、遊具の大きなお城の滑り台と楽しそうに遊ぶ子どもたちの姿が見えます。それがなんだか別の世界のようで、ちょっぴり異邦人気分。あるいは、結界の中に入り込んだような感覚を抱きました。

後々調べたところ、飛鳥山の歴史はこの辺りを支配していた豪族の豊島氏が、元亨年間(1321〜24年)に紀州新宮から飛鳥の社を勧請して山頂に祀ったのが始まりです。

江戸時代の玄門年間(1736〜41年)には、元紀州藩主の八代将軍吉宗が紀州に縁のある飛鳥山に桜の苗木270株を移植したことで桜の名所になりました。

明治時代以降も人が集まるスポットとして栄え、1873(明治6)年には上野公園などとともに日本初の「公園」として整備されます。

飛鳥山はNHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公のモデルである渋沢栄一が邸宅をかまえた場所としても有名ですね。そう、実は飛鳥山1号墳は旧渋沢邸の庭園内にあるのです。

もしかして、この古墳に登れば渋沢栄一みたいに出世しちゃうかも?

飛鳥山古墳
[場所]東京都北区西ケ原2丁目
[かたち]円墳
[大きさ]高さ推定2m、直径31m
[概要]古墳時代後期の築造。石室も確認されたが発掘調査時には
[交通]JR・東京メトロ南北線王子駅から徒歩4分

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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