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『おとなの週末』では、これまで蕎麦特集でいくつもの名店を紹介してきました。特に取材軒数が多かったライター陣が、ここ!という店を厳選。今回は温蕎麦をまとめてお届けします。永久保存版間違いなしです!

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店主の蕎麦人生の原点 黄金のかき揚げを添えた芸術品の如き天ぷら蕎麦 『東白庵かりべ』@千歳烏山

9年ほど前だったか。初めて訪ねたのは店主が神楽坂に店を構えた頃。
名店「竹やぶ」で培った腕は確かで、瞬く間に人気店となった。
そして今、昨年移転した新天地で再び歩みを進めている。謙虚な姿勢は変わらず。

天ぷらそば(2400円)

「蕎麦はシンプルゆえに難しい。1日1ミリの成長の繰り返しが仕事だと思っています」。
いい玄蕎麦を仕入れることが旨さの要という。主に扱うのは長野・黒姫産と新潟・塩沢産。

天日乾燥、手刈りの長野黒姫産などの玄蕎麦を仕入れ丸抜きの微粉に。粉を触って指紋が付くほどしっとりしているのがベスト。初任給で買った蕎麦包丁を今も使う

挽き立ての状態を見極めながら基本十割で打つ。
手繰れば香りと甘みが鮮やかに花開き、もちっとした食感も心地いい至極の味わいだ。

とりわけ天ぷら蕎麦は店主が修業先で感動し、職人を志す決意を固めた原点の味。
太白ゴマ油で揚げた才巻エビのかき揚げが別皿で供され、熱々をツユに入れるとジュッと音を奏でる芸術的な逸品だ。
芳しき油、エビの旨み、衣の食感、すべてが蕎麦の味と共鳴しあう。

太白ゴマ油で揚げたかき揚げが別添え。才巻エビがゴロッと入る。油の温度、深さ、タネを入れる角度とタイミングを計算して揚げる。熱々をツユに入れるのがおすすめ。蕎麦は香り高く食感ものど越しもいい

喜悦の境地を約束するこの一杯を、ぜひあなたにも味わってほしい。

上から、
カキの天ぷら(600円~900円 ※写真は900円)、前菜盛り合わせ(1人前 1000円)
前菜は穴子の煮こごりなどその日の5種。肉厚でぷっくりとした牡蠣はミルキーな旨み
そばがき(1300円)
熱湯で一気にかき混ぜる「そばがき」はムースのような食感
『東白庵かりべ』
[住所]東京都世田谷区粕谷4-23-19
[電話]03-6879-8998
[営業時間]11時半~14時半LO、18時~21時半LO、日・祝11時半~20時半LO※いずれも蕎麦が無くなり次第終了
[休日]水
[交通]京王線千歳烏山駅南口から徒歩6分

天然鴨の深い旨みを津軽蕎麦が受け止める 冬限定の1杯 『手打ち蕎麦 芳とも庵』@牛込神楽坂

毎年、冬を待ち遠しくさせるのが、ご覧の「野鴨蕎麦」。

野鴨蕎麦(2300円~ ※仕入れによって多少前後)
薬味には柚子胡椒、山椒、七味を添え、野鴨の旨さを引き立てる

11月15日の解禁日を待って新潟の猟師から届く野生の真鴨を乗せている。
その味わいはどこまでも濃く、力強い。身から溶け出したエキスで、かけ汁もぐっとコクを増す。

こんがり焼き色をつけた長ネギと野鴨の身に、かえしで味を含ませる。身は野生を感じさせる歯応えだ

さらにその下に潜むのが、“津軽蕎麦”と呼ばれる青森の郷土蕎麦。
水の代わりに大豆をすり潰した“呉汁”で打ち上げ、深い甘みと香りがおだやかに広がっていく。

それらが一体になると、食材の豊かな滋味が胃のすみずみまで染み渡るようだ。

この野鴨をふんだんに使った鍋のコース(5500円~6000円)も冬限定の贅沢なお楽しみ。

三種盛(1500円)
(手前から)十割で打つ「江戸蕎麦」、そして都内でもこの店でしか食べられない希少な「津軽蕎麦」、二八の「粗挽き」の3種 
ぶり大根(800円)
北海道産のブリの旨みが、大きな大根の中までじっくり染みている
前菜九点盛合せ(1500円)
この日は卵黄のかえし漬け、いくらおろし、白和え、海老のつや煮、牡蠣のアヒージョなど。国産白ワインとのペアリングも試したい
『手打ち蕎麦 芳とも庵』
[住所]東京都新宿区納戸町10
[電話]03-3235-7177
[営業時間]11時半~14時半LO、17時半~21時半(21時LO)
[休日]月・火
[交通]都営地下鉄大江戸線牛込神楽坂駅A1出口から徒歩5分
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4つの個性をまとめた店主渾身の蕎麦に肉厚鴨とネギが鎮座する ...
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おとなの週末Web編集部
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