東京で昭和のヒーローに会いに行く〜特撮編〜

少年時代、熱中したヒーローがいたことでしょう。令和の今、そんなヒーローに会える場所があるのです。アラフォーながら、昭和好きの編集部えびすが会いに出かけました。本誌2022年2月号の記事の拡大版、後編はスーパーヒーローです。

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時代が変わっても会える場所がある

いつの時代にもヒーローは存在する。本誌で昭和特集を作りにあたって考えたのが、まずは「仮面ライダー」「秘密戦隊ゴレンジャー」だった。

池袋の『仮面ライダー・ザ・ダイナー/スーパー戦隊レストラン』に行くと、仮面ライダー1号の姿を発見。アカレンジャーもいて、2大ヒーロー揃い踏み。近くで見られるのは贅沢の極みだ。

2大ヒーロー揃い踏み『仮面ライダー・ザ・ダイナー/スーパー戦隊レストラン』

2021年7月の改装を経て、仮面ライダーとスーパー戦隊の公式コラボレストランがひとつのフロアに集結。これまで以上にファン垂涎のスポットになっている。

お店に入ると、まず説明を受けたのち、来場特典(テーブルチャージひとり500円)をゲットした。仮面ライダー柄クッキー・特製コースター・ライダーマーク入り小皿、または、スーパー戦隊のランチョンマット&缶マグネットが選べる。なかなかに贅沢である。

壮大な内観

入店してまず目に飛び込んだのが、店内奥に展示されている「仮面ライダー1号」と「アカレンジャー」。アカレンジャーは、特撮ファンならご存知のレインボー造型監修によるもの。展示用に修繕された“日本一きれいなアカレンジャー”だという。

『秘密戦隊ゴレンジャー』のアカレンジャー
『仮面ライダー』の仮面ライダー1号

それにしても、昭和に生まれたヒーローながら今見てもかっこいい。両者を生み出した石ノ森章太郎先生は偉大だ。

仮面ライダー50年、スーパー戦隊45作という長い歴史があるだけに、お店には幅広い世代が訪れるそう。取材時は学生や女性のふたり客などがいたことからその片鱗を垣間見た。

ソフビに超合金! 展示にウキウキ!!

さあ、レストランですから食事をしなければ。注文はQRコードを読み込んで自分のスマホからオーダーするシステム。料理ができたら取りに行くフードコートスタイル(ドリンクは席までサーブ)だ。

料理は仮面ライダーやスーパー戦隊をモチーフにした、ここでしか楽しめないメニューのオンパレード。目移り必至なのだ。今回は「昭和のヒーローに会いに行く」なので、昭和時代に地球を救ってくれた仮面ライダーやスーパー戦隊を模したメニューを注文した。

料理とドリンクを待つ間に店内を散策。そこかしこに展示品があるのだ。

座った席の近くにあったのが『仮面ライダーオーズ/OOO』のソフビ。(恐らく)全フォームがズラリと並ぶ様は圧巻だ。子どもと一緒に夢中になったのが懐かしい。ホント名作。

そして、スーパー戦隊の展示を見ると超合金や合体式の戦隊ロボを発見! 子どもの頃おねだりしたファイブロボや、再放送で見たデンジロボなどなど。うー、かっこよすぎる。触って遊びたいぞ!

お店入口付近にショッカー首領の椅子を発見!

入り口近くには、ショッカー首領の椅子があり、ついつい座って大首領気分に浸る。その眼前にはオリジナルグッズ売り場があり、大首領だったはずが一転、心清らかな少年のように目をキラキラさせる。

ヒーロー愛を感じるモチーフメニュー

展示を鑑賞しているうちに、ドリンクが到着。スーパー戦隊『バトルフィーバーJ』より「トロピカルダンス」(880円)だ。グリーンと黒の2層に分かれたドリンクに、白いリボン……そう、バトルケニアをモチーフにしている。

ストロベリーシロップとパイナップルシロップ、それにソーダを合わせた、まさに南国トロピカルな味わい。ちょっと甘めだが、後口はスッキリしている。

「キレンジャーの好物 大盛りカレー」(990円/左)、「トロピカルダンス」(880円/右)

スーパー戦隊のフードとして注文したのが、カレーライス。それも単なるカレーではない。「キレンジャーの好物 大盛りカレー」(990円)じゃい! カレーは日替わりになっていて、こちらもそのひとつ。

見た目からわかるほど具材がゴロっと入ったカレーは、ちょっと甘さを感じる懐かしい昭和風味。そこにホクホクのジャガイモ、牛肉、さらには唐揚げまで! 食べ応え抜群、これならキレンジャーも満足できるだろう。

そして、仮面ライダーからは「ロコモコ1号」(990円)。ライス、レタスの上にハンバーグやチーズなどをのせて、仮面ライダー1号の顔に見立てたロコモコライスだ。

ロコモコソース、具材を混ぜて崩しながら食べ進めていく。レタスの下には卵が隠れていて、バーベキューソースをまろやかにしてくれる。

奥から時計回りに、「ビール」(880円)、「2号、力のメロンフロート」(770円)、「ロコモコ1号」(990円)

食後のドリンクに選んだのは「2号、力のメロンフロート」(770円)。フードとドリンクで1号、2号のコンビネーションってわけだ。

いちごシロップ、メロンソーダでブーツ・グローブを、メロンアイスにチェリーで顔、揚げパスタで触覚を演出しているのもニクい。味はイチゴが前に出た甘めの味だった。

レストランということで、お酒もちゃんとありますぜ。「ビール」(880円)はオリジナルのショッカーグラスに入っていて、昭和ライダー世代もニヤリ。「おいしイィィー」と声を挙げるだろう。

細部にこだわったメニューの数々は、東映監修のもと世界観を壊さないよう、作品やキャラクターに準ずるように考えられている。いずれも美味しさと見た目を兼ね合わせた計算をされていて、開発者の愛を感じた。

なお、混雑時は時間制(120分で入れ替え)のため、予約推奨。ヒーロー好きなら一度は訪れるべきお店だ。

ヒーローではないけど……行ってほしい『怪獣酒場 新橋蒸溜所』

では、もうひとつの日本を代表するヒーロー「ウルトラマン」はどうだ。

こちらは怪獣が主役の『怪獣酒場』がある。コンセプトは、夜な夜な怪獣たちが集まる店。ウルトラマンシリーズに登場する怪獣が、夜な夜な気力を養うために利用している居酒屋を人間向けに開放しているというから面白い。

秘密基地感のある店内

実はこちら、2014年、神奈川・川崎にオープンした本店に続く2号店で、2017年にオープン。川崎の店長がバルタン星人で、新橋はメフィラス星人が店長だ。

店長のメフィラス星人

にも関わらず、誕生月を証明できるものを見せると入ることができる「分身の部屋」ではバルタン星人がお出迎え。メフィラス星人も立つ瀬なしである。

分身の部屋

謎の液体が地球を襲う!? 地球侵略ハイボール

そんな新橋店は蒸溜所の名の通り、怪獣がお酒を作る蒸溜所を、そのまま酒場としているかのような店内。

それだけにお酒にこだわりあり。ウイスキーは角に、知多、白州、響、山崎のジャパニーズ。ボウモア、ラフロイグ、バランタインのスコッチなど。そして、オリジナルの怪獣ドリンクなるものも。中でも注目は「限定!地球征服ハイボール」(700円)、1号から3号まであり、銀河に浮かぶ地球を謎の液体が侵略していくという。

3号を注文すると、やってきたのがフラスコとグラスのセット。グラスに入っているのがホワイトラム。炭酸が入っているので、もちろんこのままでも飲める。いわば、これが「地球」。

フラスコに入っている「謎の液体」。ダークラムだ。これをかけることで侵略が始まるのだ。果たして、侵略された地球は、ラムの香りが強くなってとても美味しい。うん、侵略された地球も悪くない。怪獣に洗脳された気分だ。

ちなみに、この謎の液体、店内中央にある釜で作られている……という設定。怪獣も忙しいな。

店内の壁に蒸溜の工程が書かれている

ほか、1号はグラス内がジン、フラスコ内がバーボン。2号はグラス内がウイスキー(ジャパニーズのシングルグレーン)で、フラスコ内がブランデーとなっている。これまたどれも魅力的。地球の侵略も時間の問題。宇宙警備隊もうかうかしていられないだろう。

そして、お料理。コンセプトレストランにありがちな見た目先行にあらず。味にもきっちりとこだわっているというから、怪獣は貪欲だ。

料理も本格的! 怪獣、恐るべし

「限定!地球征服ハイボール 3号」(700円/奥)、「グドンも歓喜! 特製ツインテールカツサンド」(1480円/手前)

今回は人気メニュー「グドンも歓喜! 特製ツインテールカツサンド」(1480円)をオーダー。『帰ってきたウルトラマン』に出た怪獣、ツインテールをモチーフにしたサンドイッチだ。このツインテール、同作品に登場するグドンの捕食対象となっており、「生まれたてのツインテールはエビの味がする」と言われている。

それもあってかこのカツサンドは、エビフライのサンドイッチ。エビを2本並べてベーコンでぐるっと巻いて揚げているのがポイント。ガブッと食べるとエビの旨みというか味に厚みがある。そして、かなりプリプリっ。衣のサクサク食感もたまらない。まさにグドンも歓喜の美味しさである。

パプリカパウダーがのったタルタルソースか、ウスター・野菜・マヨネーズを調合した自家製とんかつソースをつけて召し上がれ。

そして、かぼちゃサラダをベースにグリーンピースの目、ゴボウの口で作られる顔部分もお忘れなく。

オリジナルグッズも販売!

飲食中店内のテレビを見やると、怪獣がウルトラマン相手に優勢な状況の映像が流れている。ウルトラマンとの戦いのあと、ここで本格的な料理とお酒、そしてこの映像を肴に怪獣同士で慰めあってるのか。そんなことを思いながら酒を飲んでいると、つい怪獣と自分がリンクし、正義とは何かと独り言つ。

さまざまな店で自分なりの昭和のヒーローに出会えた。あなたにとってのヒーローがこの中に当てはまっていたら、ぜひ会いに行ってほしい。ほっこりとした時間が過ごせますよ。

Ⓒ円谷プロ

撮影/小島 昇、編集部(仮面ライダー・ザ・ダイナー/スーパー戦隊レストランの展示部分) 取材/編集部

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