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極貧時代に開発した満腹メニューたち

まだ芸人としての収入が年1万円もいっていなかった当時の私は、日頃からカップ麺を10分置いて麺を限界までふやかして量を確保して胃を満たしていた。

もちろん麺はブヨブヨになるのだけれど、それで胃が満たせるため、とことんブヨブヨにしてカサ増しを図っていた。

家の水道が止まっているから公園の水をペットボトルに詰めに行ったり、電気が止まった時には、マックで一番安い商品を頼んで、それを口実にパソコンや携帯を充電しに行ったりもした。

本当にこれが21世紀の生活なのかと文字に起こすと疑問に思うかもしれないけれど、売れていない芸人はこういう生活をしている人も少なくはなかった。

パンも煮込んでふやかすことで量が増えたので、パン屋さんから余った耳を貰い、味噌汁で煮込んでふやかしたものを食べたりもしていた。

私はこれを「満腹汁」と呼び、かなりお世話になった。

満腹汁は満腹にさせることに特化した食べ物で、味は質より量の最たるものである。

さらに研究に研究を重ねた結果、私は究極の、胃を満たすご飯を発明するに至った。

それは、まずおかゆを作って、半分を冷凍して残りを食べる。

次の日は、その冷凍していた残りを解凍して、昨日食べた分の量の水を継ぎ足してお粥を作り、またその半分を冷凍して残りを食べる。

この永遠に尽きることのない食べ物を発見してしまった。

私はこの品を「エターナルお粥」と呼び、世紀の大発見を他に口外することなく一人でその益を受けていた。

ただ、3日目を過ぎた頃に同期の芸人が家に遊びにきた時、「水のり食べてる?」と疑問にもたれてから、これはやめてしまった。

確かにそう言われてみれば、私の口にしていたものの粘度と見た目は3日目にして水のりのそれであって、お米の風味すら無くなった半透明の液体を水のりと言われてしまうとそうとしか思えずに、身体が受け付けなくなってしまったのだ。

戦時中でももう少しまともなものを食べていた人が多くいただろう

ちなみに、もやしは安くて量があると言われているけれど、実際食べてみれば分かるが腹持ちが異常に悪い。

全体の水分量が多いもやしは、もはや私にとっては水である。もやしを食べるくらいだったら水を飲んだ方が経済的にもマシであって、実際に水を飲めば腹も膨れた。

水に醤油を垂らして、もやしだと言い張って飲んでいた時期もあったけれど、これは流石にもやしではないと分かっていたので、長くは続かなった。

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「質より量」の食生活が産んだ、「食への無頓着」...
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ティモンディ前田裕太
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