東京の天ぷら蕎麦店4選! 蕎麦・つゆ・天ぷらにこだわった一杯 

寒くなってきましたねぇ。今こそ魅力満開、味わいたいのが温蕎麦の世界です。中でも王道の天ぷら蕎麦に注目。名店の隠れた逸品あり、専門店あり。蕎麦・ツユ・タネ物が織りなす美味で寒い季節を楽しみましょう!

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手打蕎麦 松永@明治神宮前

天婦羅そば(海老二本)1600円
蕎麦粉は長野産の石臼挽き。“星”はあまり入れず、食感と香りを重視して二八で打つ。 ※12月~2月まで登場する広島産の生牡蠣を使う天ぷら蕎麦も必食。時期を待ち焦がれる人も多い
エビは衣に花は付けずに揚げる。クセのないサラダ油を使うのは蕎麦の味を邪魔しないように。揚げる前にペーパーで油をきれいにするひと手間も。プリッと弾むような食感だ。蕎麦も天ぷらもすべて店主の独学

飾らない姿に上品な風情が漂う香り高き一杯

理想の天ぷら蕎麦を絵に描けと言われたら、きっとこの店のそれを写生する。スッと気品あるエビが2尾、仲良く寄り添う夫婦のようだ。サクリと揚げたての旨さは言わば新婚時代か。衣にツユが染みればそれまた熟年期の如き深い味わいとなる。

おろしそば1000円
辛味大根がピリッと爽快。常連客に人気の品

なめらかな舌触りの蕎麦は店主が好みの二八で、一番ダシを使うかけ汁はどこまでも香り高い。実は節類も醤油も至って普通の素材で仕込むのだとか。皆が使う材料でいかに美味しく作るか、それが信条。しかも独学。努力は容易に想像できるが、ひけらかさないのもかっこいい。味にも姿勢にも、惚れる店です。

画像手前から(a)地鶏焼(徳島阿波尾鶏)1000円、(b)じゃこ天600円
(a)徳島産「阿波尾鶏」のモモ肉は皮目をパリッと焼き、福岡から取り寄せる風味豊かな柚子胡椒で味わう。(b)じゃこ天は宇和島産

住所:東京都渋谷区神宮前2-19-12 
TEL:03-3402-7738
営業時間:11時半~蕎麦が無くなり次第終了
定休日:日・祝 
交通:地下鉄千代田線明治神宮前駅・副都心線北参道駅2番出口などから徒歩10分

手打蕎麦 松永

蕎肆(きょうし)浅野屋(あさのや)@糀谷

かき揚げそば1540円
温かいかけ汁はサバ節のダシ。飲み干せるよう節を利かせる。冷蕎麦のつけ汁は本節1本。蕎麦粉は北海道幌加内産の石臼挽き
エビと小柱がたっぷり入るかき揚げは油の中で一度バラしてから一気にまとめるとサクサクの衣に仕上がる。油はごま油と白絞。店は店主の父母が修業した老舗「浅野屋」の暖簾分け

繊細な衣からお宝がザクザク 口福なかき揚げ蕎麦

ひとつの作品を愛でて楽しむような感覚。淡い白衣は見るからに繊細だ。箸を入れると儚げに崩れ、ザクザク現れるエビと小柱の宝に笑みがこぼれる。まずはそのまま抹茶塩で。これが酒の肴に最高で……先に完食しないようご用心(そりゃ私か)。

牡蠣そば1300円
11月から2月頃まで提供。牡蠣のダシも加えたツユと海苔を忍ばせた一杯は磯の香り

次にサバ節香るツユに浸して。衣の旨みが一面に広がり、得も言われぬ奥深さとなる。しなやかなコシの蕎麦は2代目が家業を継いだ20年前に手打ちに変えたという。落語に登場するようなツルツルとしたのど越しをイメージして打つ。冬の定番なら国産鴨や牡蠣の蕎麦も。味わいたい“作品”はまだまだある。

画像手前から(a)そばがきの揚げだし880円、(b)焼き味噌440円
(a)そばがきの揚げだしはモチっとした食感。(b)西京味噌を使う焼き味噌はクルミ入り

住所:東京都大田区南蒲田2-18-4 
TEL:03-3738-3426
営業時間:11時半~15時(14時半LO)、17時半~22時(21時半LO) ※政府の要請で変動あり
定休日:日
交通:京浜急行線糀谷駅から徒歩5分

蕎肆 浅野屋

大井布恒更科@大森海岸

季節の天ぷらそば かき2140円※1月ぐらいまで
牡蠣は大きさ抜群。サバ節を使う甘汁は1発勝負で毎日使い切り。節の味を際立たせる。蕎麦は丸抜きを自家製粉
牡蠣は味と大きさが秀逸な宮城県小友地区のものを産地指定。ごま油とサラダ油をブレンドした油でカラリと揚げる。弾ける旨みに感涙。これ目当ての客も多く、売り切れる日もある

いよいよ季節到来!丸々と太った冬の贅沢を味わう

器を席巻する牡蠣の天ぷら。好きな人なら写真を前に地団駄を踏んでるんじゃないだろうか。ご存じ江戸蕎麦御三家のひとつ、更科系譜の名店。 変わり蕎麦が定番だが、冬の牡蠣蕎麦も大人気。使うのはぷっくり豊満な宮城産だ。はち切れんばかりの身を噛めば、秘めたエキスが口の中で破裂する。これがキレのあるツユに合うのなんの。

季節の変わりそば(ゆず切り)1150円
取材時の「ゆず切り」は香りと食感を生かしてペースト状にした柚子皮を練り込んで打つ。これからは伊予柑切りなども登場する

実は冷たい蕎麦の「辛汁」は寝かせてカドを取りまろみを出すが、サバ節を利かせた温の「甘汁」は寝かせず醤油の味を立たせるとか。「常陸秋そば」で打つ外二のバランスも絶妙。いやもう食べればわかる、行ってください。

揚げあんかけ890円
冬菇(どんこ)や芝エビなど具材がたっぷりの餡掛けを、揚げた蕎麦にとろり
そば茶プリン540円
そば茶の風味が豊か

住所:東京都品川区南大井3-18-8
TEL:03-3761-7373
営業時間:11時半~15時(14時40分LO)、17時~20時(19時50分LO)、祝は昼のみ営業 ※政府の要請で変動あり
定休日:日
交通:京急本線大森海岸駅から徒歩2分・JR京浜東北線大森駅北口から徒歩10分

大井布恒更科

KAWAKAMIーAN TOKYO@外苑前

天ぷらそば(並)1925円
別皿で供される天ぷらはそのままでもツユに浸しても。二八で打つ蕎麦は噛み締める美味しさがある
創業時からのスタイルを守る有頭エビの天ぷら。身のプリプリ感を生かすため手を加え過ぎない程度に隠し包丁を入れ、丸まらないよう美しく揚げる。油は魚介用と野菜用と2種を用意

美食空間で味わう 華やかな有頭エビの特別感がうれしい

朗報です。軽井沢発の人気店「川上庵」の新店が1年ほど前にひっそりと誕生していた!100席以上あるその広さは開放感もたっぷり。製麺室も設けたモダンな空間で絶品の蕎麦が楽しめる。

石窯焼き茄子のぶっかけそば1650円
ナスは470度前後にまでなる石窯で旨みと水分を閉じ込めるように5分ほど焼く。味付けはせずそのままの風味を生かして蕎麦の上に。温蕎麦もある

天ぷら蕎麦は有頭エビのピンと立った姿が麗しく、誰もが歓声を上げる逸品だ。あえて切らないヒゲまでアート。プリッと弾む身を粗挽き感あふれる二八の蕎麦と味わえば、互いの甘みと香りが穏やかに共鳴し合う。

画像手前から(a)鴨ロースのたたき1419円、(b)信州前菜三点盛り1210円
(a)レアで仕上げた鴨ロースは醤油と薬味で味わう。(b)信州特産の「鞍掛豆」や野沢菜などを盛り合わせた前菜はつまみに人気。信州の地酒も充実

この店だけの味なら、400度以上になる石窯で焼いたナスのぶっかけ蕎麦もおすすめ。みずみずしく風味豊かな旨さが静かにしっかりと伝わってくる。

KAWAKAMIーAN TOKYO

住所:東京都港区北青山2-14-4 the ARGYLE aoyama2階 
TEL:03-6432-9011
営業時間:11時~22時半(昼メニューは17時まで、夜は21時半LO)※政府の要請で変動あり
定休日:無休
交通:地下鉄銀座線外苑前駅3番出口から徒歩3分

KAWAKAMIーAN TOKYO

撮影/小島昇(松永)、大西尚明 撮影/肥田木奈々

2022年1月号発売時点の情報です。

※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。

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