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板前の隠語をお客さんが使うのは……

お客さんも寿司を楽しむために気をつけたほうがいいんじゃないかと思うことはあります。

よく通ぶって板前が使う隠語を使う方がいますが、あれは逆に不粋に見えます。たとえば、お勘定を払うときに「おあいそ」という人がいます。「おあいそ」の来歴は、「また来てくれるように愛想を振りまいておけ」など諸説ありますが、いずれにしても、寿司屋の側が使う符牒(ふちょう)、隠語です。それをお客さんの側が言うのは変な話です。

こうした寿司屋独特の言い回しは他にもたくさんあります。「あがり」(お茶)、「ガリ」(生姜)、「サビ」(わさび)、「ギョク」(玉子焼き)、「シャリ」(酢飯)、「ムラサキ」(醤油)……。「ネタ」は、材料を意味する「種(タネ)」をひっくり返したもので、この手の例は隠語にはよくあるパターンです。「あがり」などはだいぶ一般的になっているようですが、これも、「お茶をお願いします」でいいんではないでしょうか。

それから、よく「今日のおすすめは?」とおっしゃるお客さんがいます。揚げ足を取るようですが、おすすめじゃないものを出す寿司屋はありません。どこの板前も店のネタはすべておすすめだと思っています。私の店でも、「おすすめは?」と聞かれれば、「私以外は全部おすすめです」なんて冗談めかして答えています。

店に入ってカウンターに座ったら、まずはゆっくりおしぼりを使って落ち着いてから、メニューがあれば見て飲み物を注文していただく。それから、「今日は何を食べようかなあ」と目線を漂わせているのが粋というものでしょう。

(本文は、2012年6月15日刊『寿司屋の親父のひとり言』に加筆修正したものです)

お店がある通りは、昭和の中頃まで料亭が並び、芸者さんが行きかう花街でした。

すし 三ツ木

住所:東京都江東区富岡1‐13‐13
電話:03‐3641‐2863
営業時間:11時半~13時半、17時~22時
定休日:第3日曜日、月曜日
交通:東西線門前仲町駅1番出口から徒歩1分

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おとなの週末Web編集部 今井
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