1年もの月日を費やして誕生した「たけだの穴子めし」
翌日、指定された場所へ行ってみると、そこにあったのは『たけだの穴子めし まねき本店』。
店名の通り、永年にわたって作り続けてきた「名代あなご寿司」の製法を受け継ぎ、さらにブラッシュアップさせた穴子めしの専門店である。メニューは「たけだの穴子めし」(1998円)と「たけだの穴子めし(小)」(1404円)のみ。そこに穴子めしに懸けるまねき食品の意気込みを感じる。
「駅弁屋が作る最高峰のお弁当を目指して1年を費やして作りました。まずは食べてみてください」と、竹田社長も自信たっぷり。そこでお店のスタッフさんが穴子めしを作っているところを見せてもらうことに。
使用するのは、大ぶりで肉厚の穴子。まずは白焼きにした穴子を軽く炙る。店内は香ばしい匂いが立ち込め、食欲がそそられる。そのまま塩を振ってかぶりつきたくなる衝動をグッと抑えて、次のプロセスに。
焼き上げた穴子を、穴子の頭と尾からとったダシを煮詰めた自家製のタレで煮込む。あまり煮込みすぎると崩れてしまうので、鍋から引き上げるタイミングの見極めが必要となるが、スタッフさんにとっては手慣れたもの。
サッと引き上げて、熱々の穴子にタレを塗ってから包丁で切り、ご飯の上にのせていく。ご飯は特注の羽釜で炊いた兵庫県産の「きぬむすめ」。その上から兵庫県西脇産の金ゴマ「金播磨」を振り、芳ばしさと食感を生み出している。
最後に、奈良漬けとしば漬け、生姜漬けの三種の漬物を添えて完成。石臼挽きの紀州産ぶどう山椒とタレが別添えされる。
穴子とご飯というシンプル極まりない弁当だが、食べてみて驚愕。穴子はふんわりと柔らかく、炭火で焼き上げた香ばしさもほんのり。日本人であれば誰もが好む“甘濃ゆい”味わいにご飯がすすみまくり。
そのまま食べても十分旨いが、ぶどう山椒や漬物三種盛りが味にリズムを与えてくれる。「冷めても美味しく食べられます」(竹田社長)とのことだが、やはり出来たての味にまさるものはない。店頭で受け取ってから1分1秒でも早く食べることをオススメする。
店はJR姫路駅を北へ1分。姫路への出張帰りに立ち寄って新幹線の車内で楽しむのもよいし、姫路駅から姫路城に向かう途中で購入し、お城を眺めながら食してもよいだろう。
また、2022年3月18日には大阪の阪神百貨店梅田本店地下1階阪神食品館に弁当専門店『たけだの穴子めし』がオープン。こちらでは、穴子めしの他に穴子のにぎり寿司や巻寿司も用意している。
「催事で穴子めしを提供させていただいたところ好評で、阪神百貨店様からの要請もあって出店を決めました。大阪初出店を機に『たけだの穴子めし』が姫路にとどまらず、関西の名物となるよう、これからも丁寧なお弁当作りを心がけてまいります」と、竹田社長。このクオリティなら、夢に終わることはないだろう。
■『日本料理 竹善』
[住所]兵庫県姫路市三左衛門堀東の町52
[電話番号]079-223-0331
[営業時間]11時〜14時(13時半LO)、17時〜22時(20時半LO)
[休日]第1・3火
■『たけだの穴子めし まねき本店』
[住所]兵庫県姫路市駅前町363-1 フェスタビル南館1階
[電話番号]079-223-8652
[営業時間]9時〜20時
[休日]不定休※フェスタ南館に準ずる
取材・撮影/永谷正樹